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ルカ(聖夜月ルカ)

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そうはいったものの、みんなに喜んでもらえるものは少女にはなかなか思い付かなかった。

2杯めのお茶のおかわりをもらい、3杯めのおかわりをもらってもまだ思い付かない…

「…キリーさん…駄目です。
私、いくら考えても思い付きません。
大好きな皆さんに喜んでもらえるものが、思い付かないのです。」

「…考えすぎると余計に迷ってしまうこともありますよね…
では、お客さん!
当店のおススメの品にされてはいかがですか?」

「おススメの品?
そんなものがあったんですか?
それならそうと、早く教えて下されは良いのに…
キリーさん、意地悪ですね!」

「ごめんなさい。
まずは、あなたのご希望をお聞きしたかったので…
では、すぐに持ってまいりますね。」

そう言って、キリーは店の奥へ入って行った。

(何なのかしら、おススメの品って…
でも、あのキリーさんがおススメするくらいだから、きっと素敵なものに違いないわね。
楽しみだわ!)

程なくして、キリーは小さな箱を持ってきた。

「これです。」

キリーが蓋を開けると、そこにはもやのようなものが入っていた。

ピンクにも虹のような色にも金色にも見える。

それに、とても温かい…

「……キリーさん、何ですか?これは…」

「…これは、『感謝のキモチ』です。」

「感謝のキモチ…?
…それは良いですね!
これを皆さんに差しあげたら、皆さんに幸せなことが起きるのですね!?」 

キリーは微笑みながら、首を横に振った。

「違うんですか?
じゃ、何が起きるんです?」

「…何も起こりません。
それに、これは皆さんにさしあげるものではないのです。」

「どういうことですか?」

「これは、あなたが常に持っておくのです。」

「私が……?!
でも、それじゃあ、皆さんに喜んでもらえません。」

キリーはまたにっこりと微笑んだ。
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