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ルカ(聖夜月ルカ)

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058. 冬空の虹

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「こんな所に橋が?」

「あぁ、こーんな丸い虹みたいな形の橋でな…
もうずいぶん昔に落ちてしまったんじゃがな。」

老人が指差す先には確かに石橋の名残があった。



「……虹?!」



クリントとジェシカは同時に声を上げる。



「どうしたんじゃ?」

「な、なんでもないんだ。
ありがとう、爺さん!!」

「あ、あぁ、なんだか知らんが…とにかく仲良くするんじゃぞ!」

老人が山を降りて行くと、ジェシカとクリントは石橋の根元を掘り始めたが、残念ながらそこからは何もみつからなかった。



「サンダー!向こう側へ行くぞ!」

「わかった!」


二人は山を駆け下り、さらに隣の山道を駆け上る。



「ここだ!!」

二人は薄暗い中、石橋の下を掘り続ける。



「あ…あった!!」

クリントが声をあげた。
そこから出て来たのは、意外な程に小さな箱。
その箱には、小さいくせにしっかりと鍵がかかっていた。



「ややこしい鍵かけやがって…」

クリントが鍵と格闘する事十数分。
カチャリと軽い音がして、ついに鍵が開いた。
そこに入っていたのは、光り輝く7つの宝石だった。



「…や…やったーーー!!」


クリントとジェシカは、抱き合って喜びを分かち合う。



「あ……」


ジェシカのその短い声を合図に、二人はぱっと身体を離し、その場には気まずい沈黙が流れた。



「あ…あのさ…」

最初に口を開いたのは、ジェシカの方だった。



「さっきはちょっとイライラして言い過ぎたみたい。
ごめん。
やっぱり、あんたとは良いパートナーかもしれないなぁ…なんて。」

「わ…わかりゃあ良いんだ…
俺も、ちょっと言い過ぎた…ごめん。」

俯き加減に話す二人の心の中から、白い霧が晴れて行く。



「今夜は洞窟で祝杯だね!」

「酒はもうないぞ。」

「あ…しまった。
じゃあ、山を降りるまで祝杯はおあずけだね。」

「そういう事だな。」

「……それはそうと…クリント、これからもよろしく頼むよ!」

「あぁ、こっちこそよろしくな!
さ、降りるぜ!
暗いから気を付けろよ!」




山道を降りる二人は、自然と手を繋いでいることにまだ気が付いていなかった。
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