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ルカ(聖夜月ルカ)

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058. 冬空の虹

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「ガセネタじゃなかったのかい?
こんなに探してもなにもみつからないなんて…」

「馬鹿じゃないのか?
このくらいでで諦めるなんて、あんた、それでもトレジャー・ハンターなのかよ!」

「なんだって~!
私はこれでも十年以上、トレジャー・ハンターとしてやって来てるんだ!
だから、カンみたいなもんが働くんだよ!
ここにはお宝があるかどうかってカンがね!!」

「カンねぇ…
そのカンで、あんた、今までにどのくらいのお宝をみつけたんだ?」

「……そ…それは…」

クリントは、そんなジェシカを鼻で笑った。



「あ~~っっ!!イライラする!!
あんたと組んだのは間違いだった!
コンビは解消させてもらうよ!
私は明日、山を降りる!!」

「それはこっちのセリフだ!
あんたとは、もうおさらばだな!
もう二度と顔を見る事もないだろうな!」



「これこれ、何を揉めてるんじゃ…」



熱くなった二人の背中に、枯れた老人の声が聞こえた。



「な、なんでもないさ。」

「何があったかどうか知らんが、喧嘩はいかんのう…
……あんたら、夫婦か?」

「ば、ば、ばかじゃないの!
なんで、こんな奴と私が…」

「こっちこそ!!」

老人は小さく笑い、二人の手を取った。



「な、なんだよ、爺さん!」

「良いから、良いから。」

老人が二人を連れて行ったのは、山の頂上だった。



「ほら、見なされ。
綺麗な空じゃないか…」

「綺麗って…」

鉛色の空は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。




「そうか?
わしは綺麗な灰色だと思うがのう…」

「……おかしなことを言う爺さんだね。」

「あんたには、そういう顔の方が似あっとるぞ。」

「え……」

老人はジェシカのほんの一瞬の微笑を見逃さずにそう言った。



「……うわぁ、ここ、けっこう高いんだね!」

照れたジェシカは、下を見ながら話題を変えた。
幅こそそんなにはないが、谷の深さは相当なものだ。



「ここから落ちたら御陀仏じゃな。
そういえば、こことあそこには大昔は石橋がかかっとったんじゃよ。
手すりのない橋でな、そこからの眺めはスリル満点じゃった。」

老人が言ったのは谷を挟んだ向こうの頂上のことだ。
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