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056. 春雷
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「ぎゃああああ~~~!!」
近くの木に雷が落ちたのを感じ、ジェシカは悲鳴を上げた。
それからしばらくすると、やっと雷は遠くへ去り雨はやんだ。
(……雷がこんなに怖いものだったなんて…)
ほんの小一時間の間に、自分がすっかり疲労している事にジェシカは気がついた。
重い身体をひきずるように洞窟の外へ出る。
「あ…あの木…」
焦げ臭いにおいを放つその木は、幹が真っ二つに裂けていた。
(うわぁ、雷が落ちるとすごいことになるんだね……ん?)
木の根元になにかがある…
ジェシカは恐る恐るその部分を掘ってみると、そこに埋まっていたのは木の箱だった。
(ま、ま、まさか、これって宝の……!?
やった…!婆さんの言った通りになったんだ!)
しかし、その箱にはとても頑丈な鍵がかかっていた。
簡単な鍵ならジェシカにも開けられるのだが、その鍵はまるで開く気配はなかった。
「だめだな…そんな針金じゃ、その箱は開かないぜ!」
「誰だ?」
振り返るとそこにはやたらと背の高い男が立っていた。
「どうだい?中身の30%をいただくってことで、俺が開けてやろうか?」
「余計なお世話さ。ほっといてくれ!」
そうは言ったものの、鍵はそれからもがんとして開くことはなかった。
「あ~あ、もうこんなに暗くなっちまった。
いつまでそんなことやってるのかなぁ…?」
「…………20%」
「えっ?」
「……20%やるから開けてくれ!」
「25%!」
「…………あぁ、わかったよ!」
根負けしたジェシカはお宝の25%を渡す事を条件に鍵を開けてもらう事にした。
「おぉっ!こいつはすげぇ…!」
中には昨夜ジェシカが妄想していた通りの金、銀、宝石が入っていた。
「これは、きっとすごい値になるぜ!
早速、道具屋に売りに行こう!
あ、俺は錠前屋のクリント!
よろしくな!」
「あ…私はトレジャー・ハンターの…」
ジェシカの自己紹介を聞きもせず、木箱を持ったクリントはさっさと歩き出してしまった。
「もう~!っ!待ってよ!
それ、私のお宝なんだからね!!」
クリントの後をジェシカが小走りでついていく。
期待でいっぱいになった心を胸に抱いて…
近くの木に雷が落ちたのを感じ、ジェシカは悲鳴を上げた。
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重い身体をひきずるように洞窟の外へ出る。
「あ…あの木…」
焦げ臭いにおいを放つその木は、幹が真っ二つに裂けていた。
(うわぁ、雷が落ちるとすごいことになるんだね……ん?)
木の根元になにかがある…
ジェシカは恐る恐るその部分を掘ってみると、そこに埋まっていたのは木の箱だった。
(ま、ま、まさか、これって宝の……!?
やった…!婆さんの言った通りになったんだ!)
しかし、その箱にはとても頑丈な鍵がかかっていた。
簡単な鍵ならジェシカにも開けられるのだが、その鍵はまるで開く気配はなかった。
「だめだな…そんな針金じゃ、その箱は開かないぜ!」
「誰だ?」
振り返るとそこにはやたらと背の高い男が立っていた。
「どうだい?中身の30%をいただくってことで、俺が開けてやろうか?」
「余計なお世話さ。ほっといてくれ!」
そうは言ったものの、鍵はそれからもがんとして開くことはなかった。
「あ~あ、もうこんなに暗くなっちまった。
いつまでそんなことやってるのかなぁ…?」
「…………20%」
「えっ?」
「……20%やるから開けてくれ!」
「25%!」
「…………あぁ、わかったよ!」
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「おぉっ!こいつはすげぇ…!」
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よろしくな!」
「あ…私はトレジャー・ハンターの…」
ジェシカの自己紹介を聞きもせず、木箱を持ったクリントはさっさと歩き出してしまった。
「もう~!っ!待ってよ!
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