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056. 春雷
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「へぇ…あんた、トレジャー・ハンターなのか?
女のトレジャー・ハンターってのは珍しいな!
しかし、このあたりにはお宝の話なんてまったくないぜ。」
「やっぱり…」
「面白い所も全然ないな。
それどころか、この先の町は風はきついし雷が多くてなぁ…
俺は小さい時から雷が苦手でな。
あんな町には絶対に住みたくないな!」
「雷…!?」
(そうだ!ばあさんは言ってた!
雷がどうとかって…)
「そうさ、雷さ。
あんた、まさか雷が好きなんて言うんじゃないだろうな?
そういえば、春の雷は豊作の兆しだなんていって喜ばれてるらしいがな。
今年はどうなんだろうな?」
「隣町が雷の町なんだね!
ありがとう!親父さん!」
(もしかしてあの婆さんの言った通りだとしたら、隣町にお宝があるってことになるよ!
ついに、私にも運が向いてきたか?!)
ジェシカは、眠れない夜を過ごした。
輝く金・銀・宝石の山にかこまれた自分の姿を妄想しながら…
次の朝、一番鶏よりも早くに目を覚ましたジェシカは、隣の町へ向かって歩き出した。
何もない長い長い街道も、これから手に入れるであろう宝のことを考えていると、疲れも感じなかった。
昼を過ぎ、夕刻が近付いて来た頃、突然風が強くなって来た。
鉛色の雲が凄まじい勢いで広がり始め、遠くでゴロゴロと雷の音も聞こえる。
「まだ、降らないでくれよ~!」
ジェシカは、走り出した。
早くどこか、身を隠す場所をみつけなければ…!と気持ちが焦る。
走ってるうちに、ポツリポツリと大粒の雨が空から落ちて来た。
ジェシカの願いも虚しく、それからすぐにバケツをひっくり返したような土砂降りになってしまった。
「あ!」
その時、ジェシカは小さな洞窟を見つけ、その中へ駆けこんだ。
(助かった…ここのおかげであんまり濡れないで済んだよ…)
ほっとしたのも束の間、今度は稲妻と雷のシンフォニーが始まった。
ジェシカは、今まであまり雷というものを体験したことがなかったのだが、その凄まじい轟音にはすっかり肝を冷やしてしまった。
両手でしっかりと耳を塞いでいても、その音は耳に入って来る。
やがて、一際大きな音と共に地面が揺れた。
女のトレジャー・ハンターってのは珍しいな!
しかし、このあたりにはお宝の話なんてまったくないぜ。」
「やっぱり…」
「面白い所も全然ないな。
それどころか、この先の町は風はきついし雷が多くてなぁ…
俺は小さい時から雷が苦手でな。
あんな町には絶対に住みたくないな!」
「雷…!?」
(そうだ!ばあさんは言ってた!
雷がどうとかって…)
「そうさ、雷さ。
あんた、まさか雷が好きなんて言うんじゃないだろうな?
そういえば、春の雷は豊作の兆しだなんていって喜ばれてるらしいがな。
今年はどうなんだろうな?」
「隣町が雷の町なんだね!
ありがとう!親父さん!」
(もしかしてあの婆さんの言った通りだとしたら、隣町にお宝があるってことになるよ!
ついに、私にも運が向いてきたか?!)
ジェシカは、眠れない夜を過ごした。
輝く金・銀・宝石の山にかこまれた自分の姿を妄想しながら…
次の朝、一番鶏よりも早くに目を覚ましたジェシカは、隣の町へ向かって歩き出した。
何もない長い長い街道も、これから手に入れるであろう宝のことを考えていると、疲れも感じなかった。
昼を過ぎ、夕刻が近付いて来た頃、突然風が強くなって来た。
鉛色の雲が凄まじい勢いで広がり始め、遠くでゴロゴロと雷の音も聞こえる。
「まだ、降らないでくれよ~!」
ジェシカは、走り出した。
早くどこか、身を隠す場所をみつけなければ…!と気持ちが焦る。
走ってるうちに、ポツリポツリと大粒の雨が空から落ちて来た。
ジェシカの願いも虚しく、それからすぐにバケツをひっくり返したような土砂降りになってしまった。
「あ!」
その時、ジェシカは小さな洞窟を見つけ、その中へ駆けこんだ。
(助かった…ここのおかげであんまり濡れないで済んだよ…)
ほっとしたのも束の間、今度は稲妻と雷のシンフォニーが始まった。
ジェシカは、今まであまり雷というものを体験したことがなかったのだが、その凄まじい轟音にはすっかり肝を冷やしてしまった。
両手でしっかりと耳を塞いでいても、その音は耳に入って来る。
やがて、一際大きな音と共に地面が揺れた。
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