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056. 春雷
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自分のことを親身になって心配してくれるサムやマスターのためにも今度こそ宝物をみつけなければ…!
ジェシカは、バーボンの小瓶をポケットに収めると、まずはトレジャーハンターの集まる町を目指すことにした。
その町は小さな町や村をいくつか越えた先にある。
隣の町を過ぎ、そしてそのまた隣の町に着いたのはもう夜更けだった。
幸い、今はサムやマスターにもらった資金がある。
(少しだけなら良いよね…!?)
ジェシカはその町の酒場にしけこみ、食事と共に酒を飲んだ。
もう少し飲みたい気持ちはあったが、しかし、この金は二人の想いのこもった大切な金だ。
こんな所でたくさん遣うわけにはいかない。
ジェシカは、支払いを済ませ、店を出た。
酒場の主人の話によると、宿屋もこの近くにあるらしい。
そういえば、以前、この町を通りがかった時に、宿屋を見かけたことをジェシカはぼんやりと思い出した。
外の風は冷たく、ほろ酔い加減のジェシカの頬にはそれがとても心地良かった。
しかし、しばらく歩くと酔いも覚め、寒さが身に染みてくる。
ちょうどその時、少し先に宿屋の看板が見えて来た。
(あれ…?)
ジェシカの目に飛び込んで来たのは、宿屋の軒先に佇む老婆だった。
「ばあさん、こんな所で何してんのさ?」
「あぁ、あたしは占い師でね。
あんた、占いに興味はないかい?」
「占いねぇ…」
そんなものはジェシカは元々あまり信じてはいなかったが、こんな寒い夜更けに年寄りを一人で外に置いていくのはなんだか気がひけたのだ。
「部屋の中で話を聞くよ。」
ジェシカは宿を取り、老婆を部屋に招き入れた。
「今夜はやけに冷えるね。」
「もしかしたら、それで気を遣ってくれたのかい?」
「違うよ。私が寒いの苦手だからさ。」
「……そうかい。」
老婆は微笑みながら、テーブルの上に水晶玉を置き、中をのぞきこむ。
「おまえさんの悩みは恋の悩みじゃな?」
「恋?残念ながら、私は恋なんてものは興味はないね。
それよりも……
あ、そうだ!ばあさん、これでも飲むかい?」
ジェシカはバーボンの小瓶を老婆の前に差し出した。
「良いのかい?」
老婆は小瓶を手に嬉しそうに微笑んだ。
ジェシカは、バーボンの小瓶をポケットに収めると、まずはトレジャーハンターの集まる町を目指すことにした。
その町は小さな町や村をいくつか越えた先にある。
隣の町を過ぎ、そしてそのまた隣の町に着いたのはもう夜更けだった。
幸い、今はサムやマスターにもらった資金がある。
(少しだけなら良いよね…!?)
ジェシカはその町の酒場にしけこみ、食事と共に酒を飲んだ。
もう少し飲みたい気持ちはあったが、しかし、この金は二人の想いのこもった大切な金だ。
こんな所でたくさん遣うわけにはいかない。
ジェシカは、支払いを済ませ、店を出た。
酒場の主人の話によると、宿屋もこの近くにあるらしい。
そういえば、以前、この町を通りがかった時に、宿屋を見かけたことをジェシカはぼんやりと思い出した。
外の風は冷たく、ほろ酔い加減のジェシカの頬にはそれがとても心地良かった。
しかし、しばらく歩くと酔いも覚め、寒さが身に染みてくる。
ちょうどその時、少し先に宿屋の看板が見えて来た。
(あれ…?)
ジェシカの目に飛び込んで来たのは、宿屋の軒先に佇む老婆だった。
「ばあさん、こんな所で何してんのさ?」
「あぁ、あたしは占い師でね。
あんた、占いに興味はないかい?」
「占いねぇ…」
そんなものはジェシカは元々あまり信じてはいなかったが、こんな寒い夜更けに年寄りを一人で外に置いていくのはなんだか気がひけたのだ。
「部屋の中で話を聞くよ。」
ジェシカは宿を取り、老婆を部屋に招き入れた。
「今夜はやけに冷えるね。」
「もしかしたら、それで気を遣ってくれたのかい?」
「違うよ。私が寒いの苦手だからさ。」
「……そうかい。」
老婆は微笑みながら、テーブルの上に水晶玉を置き、中をのぞきこむ。
「おまえさんの悩みは恋の悩みじゃな?」
「恋?残念ながら、私は恋なんてものは興味はないね。
それよりも……
あ、そうだ!ばあさん、これでも飲むかい?」
ジェシカはバーボンの小瓶を老婆の前に差し出した。
「良いのかい?」
老婆は小瓶を手に嬉しそうに微笑んだ。
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