Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
377 / 697
055. 新種生物発見!

しおりを挟む
「カッパー、そんなに走っちゃ転びますよ!」

「転ばないよ~だ!
ニョロンちゃんは、本当に足が遅いなぁ…
早く、ここまでおいでよ~!」

「まぁ、カッパーったら、憎たらしいことを言ってくれるわね!」



ニョロンは村長の家のベビーシッターとして働いていた。
村長夫妻の子供は、元気盛りの3歳の男の子・カッパーだ。
カッパーは、ニョロンにとてもよく懐いていた。
両親が仕事で忙しく、カッパーにかまってくれる時間があまりなくても、ニョロンのおかげでカッパーは寂しさを感じることはなかった。



「カッパー!
お水の中に入ってはだめよ。
あなたは、まだ泳げないんだから。」

「僕も早くみんなみたいにすいすい泳げるようになりたいなぁ。
そして、外の世界にも行ってみたい…」

「あなたはカッパなんだから、もう少し大きくなったら自然に泳げるようになりますよ。
でも、外の世界には、怖い人間がいっぱいいるって話ですよ。」

二人は、水辺に並んで座り、泉の中のぐるぐるを眺めていた。
あのぐるぐるこそが、外の世界への通り道なのだ。



「ふ~ん、そうなんだ。
でも、大丈夫!僕、強いもん!
悪い人間なんて、僕がやっつけちゃうよ!
あ、お魚さんだ!
お魚さん!こっち向いてよ!お魚さん!
……あ…!!」

魚に気を取られて立ち上がったカッパーがバランスを崩し、カッパーの小さな身体はそのまま水の中に落ちていった。



「きゃあ~~!
か、カッパーが…
だれか…誰か来て~~!!」

ニョロンは声を限りに叫んだが、あいにくと、あたりにカッパは一人もいなかった…




「ぐ、苦しい…
た…助けて…ニョ…ニョロンちゃん!」

必死でもがくカッパーの顔が水面に浮いたり沈んだりしている。



「カッパー!
今、行きますからね!」

自分が泳げないことはわかっていたが、カッパーをこのままにしておくわけにはいかない。
ニョロンは意を決し、泉の中に飛び込んだ…!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

意味がわかると怖い話

井見虎和
ホラー
意味がわかると怖い話 答えは下の方にあります。 あくまで私が考えた答えで、別の考え方があれば感想でどうぞ。

前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです

珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。 老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。 そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。

処理中です...