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ルカ(聖夜月ルカ)

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054. 潜む影

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「エルフか!」

俺は自分の発した声に驚き、口を覆ったが、もう遅い。



「……その通りです。
驚かせてしまって申し訳ありません。」

そう言って、エルフは俺達の方へ歩み寄って来た。
ランスロットは、エルフが丸腰だったせいか、何も言わずに剣を鞘に収めたが、まだその手は柄にかかっていた。



「私は、ジーニアス。
ご覧の通り、私はエルフです。
あなた方に危害を与えるつもりはありません。
どうぞ、私を信じて下さい。」

間近で見たジーニアスは、本当に綺麗で…
多分、声の調子や体付きから男だとは思うんだけど、俺は今まで女でもこんなに綺麗な人を見たことがなく、透き通るような水色の瞳に吸いこまれそうになりながら、何度も頷いていた。



「ジーニアスさん、まず、教えて下さい。
なぜ、私達を尾行されていたのです?
あの笛のためですか?
そのことをはっきりと教えていただけない限りは、残念ですが、あなたを信じるわけにはいきません。」

ランスロットは俺とは違ってジーニアスの外見に惑わされることはなかったようで、極めて冷静な声で、ジーニアスに事の核心を突きつけた。



「お察しの通りです。
私には、どうしてもその笛が必要なのです。
どうか、その笛を私に譲ってはいただけないでしょうか?
……もちろん、その理由もお話します。」

俺達は木陰に腰を降ろし、ジーニアスの話を聞いた。
あの笛がどういうもので、ジーニアスがなぜあの笛をそんなに欲しがっているのかを…



「あの笛には、そんな秘密があったのか…!」

それは信じがたい話だったが、ジーニアスが嘘を吐いてるようにも思えなかった。
その想いはランスロットも同じだったようで、奴は一点をみつめたまま、何事かをじっと考えこんでいた。

 
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