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ルカ(聖夜月ルカ)

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054. 潜む影

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「おはようございます、ルークさん。」

その朝、最初に俺の目に映ったものは、とても早朝だとは思えない程、しゃきっとしたランスロットの顔だった。
なんだって朝っぱらからそんなにさわやかでいられるんだ!?



「……もう起きてたのか?」

「いえ、寝なかっただけです。」

そうか…そういえば、砂漠で尾行てる奴がいるとかなんとか言い出して、不寝番をするとは言ってたが本当に起きてたんだな。
同時に、俺は夜中に交代すると言ったことも思い出した。
きっと、すっかり眠りこけてる俺を見て、奴は起こす気にもならなかったんだろう。



「それで……昨夜はなにかあったのか?」

「……いえ、何も。
やっぱり、私の思い過ごしだったようです。」

ランスロットは、そう言ってはにかんだような笑みを浮かべた。
あぁあ、こいつ、笑うとなんて可愛らしいんだ。
俺は、朝からまたランスロットにジェラシーを感じながら、まだしっかりとは開いていない目をこすり、ゆっくりと起き上がった。







「ストックさん、これを見たら、さぞかしお喜びになられるでしょうね!」

「そうだな。
あんな所にあるものを取って来るなんて、そりゃあ、小人か俺にしか出来ないからな。」

「その通りですね。
私、昨夜、ルークさんが小さくなられる瞬間を見ていたのですが、そりゃあもう神秘的な光景でしたよ。
そういえば、ルークさんはなぜあのような能力を身につけられたのですか?」

俺達は、昼近くになってやってきた乗合馬車に乗りこみ、数日前に通ったばかりのマザークロスへ通じる道を走っていた。



「そ、それは…
こういう場所じゃ言えないな。
もっと落ちついた場所でまたゆっくり話すよ。」

「それもそうですね。」

ランスロットの奴が俺のあの現象を『能力』と呼んだことがとても不思議に感じられた。
能力っていうのは、人より優れていて、だからこそ、人に自慢出来るもののはずだ。
俺は、今までずっとあのことを人に悟られないようにして来た。
だって、身体がちっちゃくなるなんて、不都合なことはあっても役に立つようなことだとは思ってもみなかったから。
考えてみれば、今回、小人の宝を取れたのはこの力のおかげなんだ。
……とはいえ、それはたまたまそうだっただけの話で、やっぱり能力だなんて思えないんだけどな。 
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