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052. ただ欲しいと思っただけ
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「なんだよ、あいつら…」
「悔しいけど、スキャニーの言う通りかもしれないわ。
私なんて農民の娘だし、魔法学校にも行けなくて独学なんだもの。
いくらこんな格好をしたって魔術士になんてなれっこないのよ。」
「そんなことないさ!
地道に努力してればきっと…
それにアイテムがあれば一気にレベルアップ出来る!
クレア!やっぱり行こうよ!魔術士の指輪を探しに…」
「またその話?……無理よ。
あの山が魔物の巣窟だってことは、あなただって知ってるでしょう?
私はまだ魔物のえさにはなりたくないわ。
それなら、親のすすめる結婚をして、農民として平凡に生きた方がまだマシよ。」
「クレア…またそんなことを…
じゃ、じゃあ、僕が取ってくる。
だから…」
「馬鹿言わないで。あなたにそんなこと出来るわけないでしょ!」
「クレア…!」
クレアは立ち上がり、そのまま駆け出して行ってしまった。
青年は、その姿をただ呆然とみつめるだけだ。
「……元気出しなよ。」
後ろから不意に肩を叩かれ青年が振り向くと、そこにいたのは彼の黒づくめの剣士だった。
「あなたは…?」
「悪いが話は聞かせてもらったよ。
あんた…あのクレアって娘に気があるんだな。」
「そ…そんな…」
青年は赤くなって俯いた。
「なんなら…俺が一緒に行ってやろうか?その魔法の指輪探しに。」
「ええ~っ!ほ、本当ですか?!
ぜ、ぜひ、お願いします!」
「その代わり、それ相応の報酬はいただくぜ。」
「もちろんです!」
「そうか、じゃ、話は決まりだな!
あ、俺はグラッジってもんなんだが、あんたは?」
「ぼ、僕は、シモン。
魔術師の卵です。」
シモンは片手を差し出し、フードを取った。
フードから現れた顔はまだ少年のようにあどけないものだった。
「悔しいけど、スキャニーの言う通りかもしれないわ。
私なんて農民の娘だし、魔法学校にも行けなくて独学なんだもの。
いくらこんな格好をしたって魔術士になんてなれっこないのよ。」
「そんなことないさ!
地道に努力してればきっと…
それにアイテムがあれば一気にレベルアップ出来る!
クレア!やっぱり行こうよ!魔術士の指輪を探しに…」
「またその話?……無理よ。
あの山が魔物の巣窟だってことは、あなただって知ってるでしょう?
私はまだ魔物のえさにはなりたくないわ。
それなら、親のすすめる結婚をして、農民として平凡に生きた方がまだマシよ。」
「クレア…またそんなことを…
じゃ、じゃあ、僕が取ってくる。
だから…」
「馬鹿言わないで。あなたにそんなこと出来るわけないでしょ!」
「クレア…!」
クレアは立ち上がり、そのまま駆け出して行ってしまった。
青年は、その姿をただ呆然とみつめるだけだ。
「……元気出しなよ。」
後ろから不意に肩を叩かれ青年が振り向くと、そこにいたのは彼の黒づくめの剣士だった。
「あなたは…?」
「悪いが話は聞かせてもらったよ。
あんた…あのクレアって娘に気があるんだな。」
「そ…そんな…」
青年は赤くなって俯いた。
「なんなら…俺が一緒に行ってやろうか?その魔法の指輪探しに。」
「ええ~っ!ほ、本当ですか?!
ぜ、ぜひ、お願いします!」
「その代わり、それ相応の報酬はいただくぜ。」
「もちろんです!」
「そうか、じゃ、話は決まりだな!
あ、俺はグラッジってもんなんだが、あんたは?」
「ぼ、僕は、シモン。
魔術師の卵です。」
シモンは片手を差し出し、フードを取った。
フードから現れた顔はまだ少年のようにあどけないものだった。
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