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ルカ(聖夜月ルカ)

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050. 過去・現在・未来

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目が覚めたのは、見覚えのない部屋だった。



(どうしたんだ?
昨夜は隣町の宿に泊まったはずなのに…)


誰かが部屋に入ってくる靴音が聞こえた。

「兄さん、いるんだろ?
鍵もかけないとはずいぶんと物騒なことだな!」

「……誰なんだ?」

「寝ぼけてるのか、兄さん?ジョシュアだよ。
風邪の具合はどうだ?」



ジョシュアというな前を聞いても、ピンと来なかった。
相手は「兄さん」というが、ビリーは一人っ子だ。
弟がいた試しはない。



「兄さん、どうかしたのか?
まだ熱があるのか?」

「あ……あぁ…実は、熱で足元がふらついてちょっと頭をぶつけてな…」

「大丈夫なのか?
義理とはいえ、長年兄弟として育ってきた俺の顔を忘れるとは…医者に診てもらわなくて大丈夫なのか?」

「ジョシュア…」



(そうだ!!マイケルさんの家にジョシュアって子供がいた。
俺よりずいぶん年下だったせいか遊んだ事はなかったが…)



「ジョシュア…あんた、もしかしたら、マイケルさんの…」

「兄さん、今更、何を言ってるんだ…」

「じゃ、じゃあ、母さんはロイスじゃなくマイケルさんと再婚したのか?」

「兄さん…覚えてないのか?
大変だ…頭になにか障害がおきてるのかもしれないぞ…
医者の所に行こう、兄さん!」

「い、いや…大丈夫だ。きっとじきに思い出す。
そんなことより、母さんはマイケルさんと…
じゃあ、母さんは今、マイケルさんと一緒なんだな?
幸せに暮らしてるんだな?」

「兄さん、やっぱり医者にみてもらおう。
義母さんは死んだ。
親父も、俺の母親に刺し殺されたじゃないか!」

「なんだって!!」

ジョシュアの話は驚くべきものだった。
ビリーの母はジョシュアを連れたマイケルと再婚していた。
それから家族4人の幸せな生活が始まったが、マイケルは、その一年後、元妻に刺殺され、その妻もその場で命を断ったということだった。
それから、マイケルの母親は幼いジョシュアとビリーを抱えて苦労して育てた挙句、ビリーが18の時に身体を壊して亡くなったということだった。
それからはビリーがジョシュアの面倒をみてきたという。



「そ…そんな…母さんが亡くなったなんて…」

「もう何年経ってると思ってるんだ。
兄さん、頭を打ったことをドリーンさんには言ったのか?」 

「ドリーンさん?誰なんだ?」

「まさか!!先月結婚したかばかりの愛妻のことまで忘れたっていうのか?」

ジョシュアはビリーと寄り添う女性の写真を指差した。
二人は、教会と思われる場所の前でにこやかに微笑んでいる。
その服装からしても、結婚式の直後であることは間違いない。 


 
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