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050. 過去・現在・未来
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(馬鹿馬鹿しい。
こんなカードで過去がやり直せるなら誰も苦労はしないさ。)
ビリーは、テーブルのカードを掴み、破り捨てようとした。
しかし、何かがそれを躊躇させた。
護符を破るような気持ちになってしまったのかもしれない。
ビリーは、カードをしばらくみつめ胸のポケットに納めるとそのまま店を出た。
*
「あんた、よくもここに帰って来られたもんだね!
しかも、またそんなに酔って…
ろくに働きもしないくせによくそれだけ飲めるもんだよ!」
まだぼんやりとするビリーの前で、ジュディが金切り声を上げていた。
昨夜のビリーは、服も着替えずそのままソファーで眠ってしまったようだ。
「本当に、甲斐性もないくせに浮気はする、金は遣う…」
「やかましい!
俺は二日酔いで頭が痛いんだ。
うるさい声をあげるな!」
「なんだって~!
自分のことは棚に上げて勝手なことばっかり言って!」
「喋るなって言ってるだろうが!」
ビリーは、ジュディの頬を何度も平手で叩き、ジュディはそれに対して狂ったような叫び声を上げる。
そのうちに、そこらにあったものをビリーに向かって投げつけ始めた。
「やめろって!」
ジュディはその声を無視し、さらにものを投げ続けた。
ガラスの花瓶がビリーの顔の脇をかすめ、高い音を立てて飛び散った。
(いつもこうだ…)
顔を合わせれば諍いばかり。
すぐに手をあげてしまう自分も良くないということはビリーにもわかってはいたが、あの金切り声を聞いているとついイライラして手が出てしまうのだ。
一度ヒステリーを起こすと、ジュディの発作はおさまらない。
ビリーは、飛んでくるものを避けながら、裏口に向かい家を出た。
まだ眠いし頭も痛い。
ビリーは隣町の安宿に行って休むことにした。
宿の近くの酒屋で、ウィスキーの小瓶を買い胸ポケットにいれようとした時、ポケットの中にあるものに気が付いた。
(なんだ?これは…)
胸ポケットから出てきたのは三枚のカード。
ビリーの脳裏に昨夜の出来事が思い出される。
(こんなもの、持って来ちまったのか…)
ビリーはその場にカードを投げ捨てようとし、手を離す瞬間、その手が止まった。
あの男の言ったことなど信じてはいないのに、なぜ捨てられないのか…
そのことを自分でも不思議に感じながら、ビリーは再びカードをポケットに戻した。
こんなカードで過去がやり直せるなら誰も苦労はしないさ。)
ビリーは、テーブルのカードを掴み、破り捨てようとした。
しかし、何かがそれを躊躇させた。
護符を破るような気持ちになってしまったのかもしれない。
ビリーは、カードをしばらくみつめ胸のポケットに納めるとそのまま店を出た。
*
「あんた、よくもここに帰って来られたもんだね!
しかも、またそんなに酔って…
ろくに働きもしないくせによくそれだけ飲めるもんだよ!」
まだぼんやりとするビリーの前で、ジュディが金切り声を上げていた。
昨夜のビリーは、服も着替えずそのままソファーで眠ってしまったようだ。
「本当に、甲斐性もないくせに浮気はする、金は遣う…」
「やかましい!
俺は二日酔いで頭が痛いんだ。
うるさい声をあげるな!」
「なんだって~!
自分のことは棚に上げて勝手なことばっかり言って!」
「喋るなって言ってるだろうが!」
ビリーは、ジュディの頬を何度も平手で叩き、ジュディはそれに対して狂ったような叫び声を上げる。
そのうちに、そこらにあったものをビリーに向かって投げつけ始めた。
「やめろって!」
ジュディはその声を無視し、さらにものを投げ続けた。
ガラスの花瓶がビリーの顔の脇をかすめ、高い音を立てて飛び散った。
(いつもこうだ…)
顔を合わせれば諍いばかり。
すぐに手をあげてしまう自分も良くないということはビリーにもわかってはいたが、あの金切り声を聞いているとついイライラして手が出てしまうのだ。
一度ヒステリーを起こすと、ジュディの発作はおさまらない。
ビリーは、飛んでくるものを避けながら、裏口に向かい家を出た。
まだ眠いし頭も痛い。
ビリーは隣町の安宿に行って休むことにした。
宿の近くの酒屋で、ウィスキーの小瓶を買い胸ポケットにいれようとした時、ポケットの中にあるものに気が付いた。
(なんだ?これは…)
胸ポケットから出てきたのは三枚のカード。
ビリーの脳裏に昨夜の出来事が思い出される。
(こんなもの、持って来ちまったのか…)
ビリーはその場にカードを投げ捨てようとし、手を離す瞬間、その手が止まった。
あの男の言ったことなど信じてはいないのに、なぜ捨てられないのか…
そのことを自分でも不思議に感じながら、ビリーは再びカードをポケットに戻した。
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