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045. ヤマタノオロチ
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「確かこのあたりのはずでござるな…」
男は手に持った古びた地図に目を落とした。
「もし、そこのお方…」
「……なんだい?!」
「少々、ものをお尋ねするでござるが、この地図はこのあたりでござろうか?」
声をかけられた方の男は、声をかけてきた方の男のおかしな言葉遣いとおかしな格好に少し顔をしかめながら、返答をする。
「……ずいぶんと古い地図だね。
うん、多分、このあたりだと思うよ。
あんた、ここへは観光で来たのかい?」
「いや、拙者はヤマタノオロチを退治しに来たでござる。
そして、天叢雲剣を手に入れるでござる…!」
「……ヤマタノオロチィ…?!
…そうかい。
じゃ、頑張んなよ、お侍さん!」
(わぉ!!)
「お侍さん」という言葉に、男は異常に反応していた。
この少々おかしな男の名は、ロディ。
碧眼、長身で手足はすらりと伸びている。
ロディは長い髪をポニーテール風にまとめ、紫色の袴をはいていた。
本来は金髪なのだが、当然のごとく黒く染めている。
腰には刀…と言いたい所だが、鞘におさめられているのはもちろん竹光。
ロディは、小さい頃、たまたま目にしたテレビ映画の影響で、昔から「侍」というものに異常な関心を抱いてきた。
侍の何が彼の心をそれほどまでに鷲掴みにしたのかはわからないが、とにかくその気持ちは年を重ねるごとにどんどん加熱するばかり。
学校を卒業してからのロディはただひたすらに働いた。
それは、侍発祥の遠い異国を旅するため…
今ではその国にはもう侍はいないとされていたが、ロディはそんな話は信じてはいなかった。
(侍は今もきっといるに違いない。
彼等は、人々の目を避け、どこかに隠れ住んでいるでござる!)
何の根拠もなく、ロディはそんなことを確信していた。
彼等の隠れ里を探しだし、自分も侍の仲間に入れてもらうのが、ロディの真剣な夢なのだ。
故郷を出るまでに、侍については出来る限り勉強してきた。
剣術や武道も一生懸命に練習した。
すべて自己流ではあったけど…
ある程度の金が貯まると、ロディはついに侍の国に旅立った。
男は手に持った古びた地図に目を落とした。
「もし、そこのお方…」
「……なんだい?!」
「少々、ものをお尋ねするでござるが、この地図はこのあたりでござろうか?」
声をかけられた方の男は、声をかけてきた方の男のおかしな言葉遣いとおかしな格好に少し顔をしかめながら、返答をする。
「……ずいぶんと古い地図だね。
うん、多分、このあたりだと思うよ。
あんた、ここへは観光で来たのかい?」
「いや、拙者はヤマタノオロチを退治しに来たでござる。
そして、天叢雲剣を手に入れるでござる…!」
「……ヤマタノオロチィ…?!
…そうかい。
じゃ、頑張んなよ、お侍さん!」
(わぉ!!)
「お侍さん」という言葉に、男は異常に反応していた。
この少々おかしな男の名は、ロディ。
碧眼、長身で手足はすらりと伸びている。
ロディは長い髪をポニーテール風にまとめ、紫色の袴をはいていた。
本来は金髪なのだが、当然のごとく黒く染めている。
腰には刀…と言いたい所だが、鞘におさめられているのはもちろん竹光。
ロディは、小さい頃、たまたま目にしたテレビ映画の影響で、昔から「侍」というものに異常な関心を抱いてきた。
侍の何が彼の心をそれほどまでに鷲掴みにしたのかはわからないが、とにかくその気持ちは年を重ねるごとにどんどん加熱するばかり。
学校を卒業してからのロディはただひたすらに働いた。
それは、侍発祥の遠い異国を旅するため…
今ではその国にはもう侍はいないとされていたが、ロディはそんな話は信じてはいなかった。
(侍は今もきっといるに違いない。
彼等は、人々の目を避け、どこかに隠れ住んでいるでござる!)
何の根拠もなく、ロディはそんなことを確信していた。
彼等の隠れ里を探しだし、自分も侍の仲間に入れてもらうのが、ロディの真剣な夢なのだ。
故郷を出るまでに、侍については出来る限り勉強してきた。
剣術や武道も一生懸命に練習した。
すべて自己流ではあったけど…
ある程度の金が貯まると、ロディはついに侍の国に旅立った。
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