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044. 古の巫女
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(…ここは…?
そうか!人間の世界に来たんだな!
さて、どっちにいこうか…)
透き通った羽根をパタパタと羽ばたかせてヨンヨンはゆっくりと飛んでいく。
妖精は天使のようには高くも速くも飛べはしない。
でも、ヨンヨンは天使に会った事はなかったからそれを不満に感じる事もなく、のんびりとひらひら飛んで行く。
しばらく行くと、ヨンヨンは1人の人間が大きななにかを連れて歩いているのを見つけた。
(うわっ!人間だ…!!)
「待って!待ってよ!!」
ヨンヨンは、精一杯羽根を羽ばたかせ、なんとか人間に近づいた。
「やっと、追いついた!
ねぇ、人間さん!これはなに?」
人間は、ヨンヨンの方を見ようともしなかった。
「ねぇねぇ!人間さん、返事してよ!!」
人間の肩に乗ってみたり頭をぽんぽん叩いてみたが、人間と大きなものは何も言わずに歩いて行く。
「なんで無視するんだよ~!」
人間と大きなものの回りをぱたぱたと飛びまわり、叩いたり蹴ったりしているうちに、大きなものが「もぉ~~!」と声をあげ、鞭のような尻尾でヨンヨンを跳ね飛ばした。
「うわぁぁぁ~~~!!」
ヨンヨンはいつもより速く空を飛び、畑の中に落下した。
「いたたた…ひどいことするなぁ…
これからは『もぉ~』には近寄らないようにしなくっちゃ…」
腰をさすりながらヨンヨンはゆっくりと立ちあがった。
それからもヨンヨンは何人かの人間と出会ったが、ヨンヨンに返事をしてくれる者は一人もいなかった。
(やっぱり他の賢者様が言ったことの方が正しいのかも知れないな。
人間って、みんな冷たい…
誰も、ヨンヨンと話さえしてくれない…)
ヨンヨンは羽根を広げ、夕陽に向かってひらひらと飛んで行く。
さっき跳ね飛ばされた時に打った腰をさすりながら。
(あ……)
ヨンヨンはまた人間を発見した。
今度の人間はちっちゃくて曲がってる。
(きっと、この人間も無視するんだろうな…)
ヨンヨンはちっちゃい人間の肩に、そっと舞い降りた。
「おや、誰だい?
挨拶もなく私の肩に黙って座るのは…」
「えっっ!!
…あ…あ、あの…ごめんなさい。
ボクはヨンヨンっていう妖精です。」
「妖精さんとは珍しいねぇ…
昔はよくいたもんだけど、最近はめっきりみかけなくなったね。」
そうか!人間の世界に来たんだな!
さて、どっちにいこうか…)
透き通った羽根をパタパタと羽ばたかせてヨンヨンはゆっくりと飛んでいく。
妖精は天使のようには高くも速くも飛べはしない。
でも、ヨンヨンは天使に会った事はなかったからそれを不満に感じる事もなく、のんびりとひらひら飛んで行く。
しばらく行くと、ヨンヨンは1人の人間が大きななにかを連れて歩いているのを見つけた。
(うわっ!人間だ…!!)
「待って!待ってよ!!」
ヨンヨンは、精一杯羽根を羽ばたかせ、なんとか人間に近づいた。
「やっと、追いついた!
ねぇ、人間さん!これはなに?」
人間は、ヨンヨンの方を見ようともしなかった。
「ねぇねぇ!人間さん、返事してよ!!」
人間の肩に乗ってみたり頭をぽんぽん叩いてみたが、人間と大きなものは何も言わずに歩いて行く。
「なんで無視するんだよ~!」
人間と大きなものの回りをぱたぱたと飛びまわり、叩いたり蹴ったりしているうちに、大きなものが「もぉ~~!」と声をあげ、鞭のような尻尾でヨンヨンを跳ね飛ばした。
「うわぁぁぁ~~~!!」
ヨンヨンはいつもより速く空を飛び、畑の中に落下した。
「いたたた…ひどいことするなぁ…
これからは『もぉ~』には近寄らないようにしなくっちゃ…」
腰をさすりながらヨンヨンはゆっくりと立ちあがった。
それからもヨンヨンは何人かの人間と出会ったが、ヨンヨンに返事をしてくれる者は一人もいなかった。
(やっぱり他の賢者様が言ったことの方が正しいのかも知れないな。
人間って、みんな冷たい…
誰も、ヨンヨンと話さえしてくれない…)
ヨンヨンは羽根を広げ、夕陽に向かってひらひらと飛んで行く。
さっき跳ね飛ばされた時に打った腰をさすりながら。
(あ……)
ヨンヨンはまた人間を発見した。
今度の人間はちっちゃくて曲がってる。
(きっと、この人間も無視するんだろうな…)
ヨンヨンはちっちゃい人間の肩に、そっと舞い降りた。
「おや、誰だい?
挨拶もなく私の肩に黙って座るのは…」
「えっっ!!
…あ…あ、あの…ごめんなさい。
ボクはヨンヨンっていう妖精です。」
「妖精さんとは珍しいねぇ…
昔はよくいたもんだけど、最近はめっきりみかけなくなったね。」
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