287 / 697
044. 古の巫女
1
しおりを挟む
(…あ~あ、また駄目だった…)
ヨンヨンは木の枝にちょこんと座り、がっくりと肩を落とした。
海の向こう側に沈もうとしているオレンジ色の夕陽が、なんだかとっても切なく見える…
ヨンヨンの住む妖精の村には5人の「賢者」と呼ばれる者達がいた。
賢者達は、若い妖精達にいろんな話を聞かせてくれた。
中でもヨンヨンが一番心ひかれたのは、人間の世界の話だった。
人間の暮らしのことや、気候や環境のこと…
それは、妖精の村とはずいぶん違うものだった。
ヨンヨンはそんな人間の世界に想いをはせ、憧れに近い感情をも抱いていたが、そこに住む「人間」は、そのほとんどが悪い心を持った存在で、みつかったらどんな目に遭うかわからないということだった。
だが、5人の賢者のうちの1人だけは、「そうではない、人間の中にも良い心を持つ者はたくさんいる!」と言い張り、この話題になるといつも最後は険悪な雰囲気になるのだった。
「アルフレート様、ヨンヨンもアルフレート様と同じ意見です。
人間達はあんな綺麗な所に住んでるんですもの。
魔法が使えなくても、一生懸命、頑張ってるんですもの。
きっと、人間達は良い心を持ってると思います。」
「そんなことを言ってくれるのはヨンヨン、おまえだけじゃ。
おまえは本当に良い子じゃのぅ。」
「あのぅ…アルフレート様…お願いがあるんですが…」
「なんじゃ?」
「ヨンヨンを人間の世界に行かせて下さい!
本当の人間のことを知りたいんです!」
「何?人間の世界に…?
う~む…それは…」
「アルフレート様はおっしゃったじゃありませんか!
人間の中には良い心を持った者がたくさんいると…
だったら、なにも心配はありませんよね??
アルフレート様は立派な賢者様なのですから、間違ったことなどおっしゃることはありませんよね?」
「も…、もちろんじゃ!
よろしい!ヨンヨンよ…人間の世界に行って来るが良い。
そして、自分の目でしっかりと人間のことを調べて来るのじゃ!」
こうしてヨンヨンは妖精の村を出る事を特別に許された。
村の祭壇の奥にある普段使われることのない重い扉が開かれる…
「気を付けていくんじゃよ。」
「はい、アルフレート様!」
扉を開けた瞬間、ヨンヨンは眩い光に包まれ、再び目を開けた時には周りの景色が変わっていた。
ヨンヨンは木の枝にちょこんと座り、がっくりと肩を落とした。
海の向こう側に沈もうとしているオレンジ色の夕陽が、なんだかとっても切なく見える…
ヨンヨンの住む妖精の村には5人の「賢者」と呼ばれる者達がいた。
賢者達は、若い妖精達にいろんな話を聞かせてくれた。
中でもヨンヨンが一番心ひかれたのは、人間の世界の話だった。
人間の暮らしのことや、気候や環境のこと…
それは、妖精の村とはずいぶん違うものだった。
ヨンヨンはそんな人間の世界に想いをはせ、憧れに近い感情をも抱いていたが、そこに住む「人間」は、そのほとんどが悪い心を持った存在で、みつかったらどんな目に遭うかわからないということだった。
だが、5人の賢者のうちの1人だけは、「そうではない、人間の中にも良い心を持つ者はたくさんいる!」と言い張り、この話題になるといつも最後は険悪な雰囲気になるのだった。
「アルフレート様、ヨンヨンもアルフレート様と同じ意見です。
人間達はあんな綺麗な所に住んでるんですもの。
魔法が使えなくても、一生懸命、頑張ってるんですもの。
きっと、人間達は良い心を持ってると思います。」
「そんなことを言ってくれるのはヨンヨン、おまえだけじゃ。
おまえは本当に良い子じゃのぅ。」
「あのぅ…アルフレート様…お願いがあるんですが…」
「なんじゃ?」
「ヨンヨンを人間の世界に行かせて下さい!
本当の人間のことを知りたいんです!」
「何?人間の世界に…?
う~む…それは…」
「アルフレート様はおっしゃったじゃありませんか!
人間の中には良い心を持った者がたくさんいると…
だったら、なにも心配はありませんよね??
アルフレート様は立派な賢者様なのですから、間違ったことなどおっしゃることはありませんよね?」
「も…、もちろんじゃ!
よろしい!ヨンヨンよ…人間の世界に行って来るが良い。
そして、自分の目でしっかりと人間のことを調べて来るのじゃ!」
こうしてヨンヨンは妖精の村を出る事を特別に許された。
村の祭壇の奥にある普段使われることのない重い扉が開かれる…
「気を付けていくんじゃよ。」
「はい、アルフレート様!」
扉を開けた瞬間、ヨンヨンは眩い光に包まれ、再び目を開けた時には周りの景色が変わっていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!
小択出新都
ファンタジー
異世界に転生して公爵家の娘に生まれてきたエトワだが、魔力をほとんどもたずに生まれてきたため、生後0ヶ月で跡継ぎ失格の烙印を押されてしまう。
跡継ぎ失格といっても、すぐに家を追い出されたりはしないし、学校にも通わせてもらえるし、15歳までに家を出ればいいから、まあ恵まれてるよね、とのんきに暮らしていたエトワ。
だけど跡継ぎ問題を解決するために、分家から同い年の少年少女たちからその候補が選ばれることになり。
彼らには試練として、エトワ(ともたされた家宝、むしろこっちがメイン)が15歳になるまでの護衛役が命ぜられることになった。
仮の主人というか、実質、案山子みたいなものとして、彼らに護衛されることになったエトワだが、一癖ある男の子たちから、素直な女の子までいろんな子がいて、困惑しつつも彼らの成長を見守ることにするのだった。

転生した愛し子は幸せを知る
ひつ
ファンタジー
【連載再開】
長らくお待たせしました!休載状態でしたが今月より復帰できそうです(手術後でまだリハビリ中のため不定期になります)。これからもどうぞ宜しくお願いします(^^)
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。
次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!
転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。
結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。
第13回ファンタジー大賞 176位
第14回ファンタジー大賞 76位
第15回ファンタジー大賞 70位
ありがとうございます(●´ω`●)
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
ハニーローズ ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~
悠月 星花
ファンタジー
「背筋を伸ばして凛とありたい」
トワイス国にアンナリーゼというお転婆な侯爵令嬢がいる。
アンナリーゼは、小さい頃に自分に関わる『予知夢』を見れるようになり、将来起こるであろう出来事を知っていくことになる。
幼馴染との結婚や家族や友人に囲まれ幸せな生活の予知夢見ていた。
いつの頃か、トワイス国の友好国であるローズディア公国とエルドア国を含めた三国が、インゼロ帝国から攻められ戦争になり、なすすべもなく家族や友人、そして大切な人を亡くすという夢を繰り返しみるようになる。
家族や友人、大切な人を守れる未来が欲しい。
アンナリーゼの必死の想いが、次代の女王『ハニーローズ』誕生という選択肢を増やす。
1つ1つの選択を積み重ね、みんなが幸せになれるようアンナリーゼは『予知夢』で見た未来を変革していく。
トワイス国の貴族として、強くたくましく、そして美しく成長していくアンナリーゼ。
その遊び場は、社交界へ学園へ隣国へと活躍の場所は変わっていく……
家族に支えられ、友人に慕われ、仲間を集め、愛する者たちが幸せな未来を生きられるよう、死の間際まで凛とした薔薇のように懸命に生きていく。
予知の先の未来に幸せを『ハニーローズ』に託し繋げることができるのか……
『予知夢』に翻弄されながら、懸命に生きていく母娘の物語。
※この作品は、「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルアップ+」「ノベリズム」にも掲載しています。
表紙は、菜見あぉ様にココナラにて依頼させていただきました。アンナリーゼとアンジェラです。
タイトルロゴは、草食動物様の企画にてお願いさせていただいたものです!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる