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043. 妾腹の王族
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「父上!何をためらっておいでなのです!」
「しかし、カイラ…
なにもそこまですることはないのではないか、あの国は自然豊かで国民も王も戦を好まぬ平和な種族だ。
金脈があるとはいっても、それほどたいしたものではない。
それに、我が国は、今、緊急に金を必要としているわけではない。
わざわざ手出しすることはないではないか。」
「父上は手ぬるいのです!
たとえ僅かでもこんな身近に宝の山があるのですぞ!
それを見過ごす手はありません。
金はいくらあっても、たくさんあるに越したことはないのですから…」
「では、貿易をすれば良いではないか。
あの国の金と見合うもののものをこちらが…」
「父上!あのような小さな国…
攻め入ればすぐに片がつきます。
なぜ、そんなむしけらのような者達を我が国と平等に相手せねばならんのです?」
「なぜ?……それが人としての道だからだ。
相手が小さい国であろうとなかろうと、何かを得るためにはこちらも何かを差し出す…
それは、極当たり前のことだと思うが…」
「ずいぶんと酷いおっしゃりようだ。
それでは、まるで私が人の道にはずれた人間のように聞こえますぞ。
実の息子にかける言葉とは思えませんな…」
「……ともかく、それだけは許さぬ。
話はそれだけだ。下がれ…」
「父上……そんなことでは、いつか足元をすくわれますぞ…」
カイラは不敵な微笑を浮かべ、部屋を後にした。
アルタナ国王アンドレアスは、玉座に片肘をつき、頭を抱えた。
一人息子のカイラとはいつもこんな風にぶつかってしまう。
ただぶつかるだけなら良いが、いつか、殺されてしまうのではないか…?
アンドレアスは、最近ではカイラの瞳の奥にそんな殺意を感じることさえあった。
(思い過ごしなら良いのだが…
とにかく、あれは、私とは違い過ぎるのだ…)
カイラの性格は、妃のイングリッドそのものだった。
プライドが高く、好戦的で、非常にわがままだ。
そっくりなのは性格だけに留まらず、顔つきもイングリッドに生き移しだった。
「しかし、カイラ…
なにもそこまですることはないのではないか、あの国は自然豊かで国民も王も戦を好まぬ平和な種族だ。
金脈があるとはいっても、それほどたいしたものではない。
それに、我が国は、今、緊急に金を必要としているわけではない。
わざわざ手出しすることはないではないか。」
「父上は手ぬるいのです!
たとえ僅かでもこんな身近に宝の山があるのですぞ!
それを見過ごす手はありません。
金はいくらあっても、たくさんあるに越したことはないのですから…」
「では、貿易をすれば良いではないか。
あの国の金と見合うもののものをこちらが…」
「父上!あのような小さな国…
攻め入ればすぐに片がつきます。
なぜ、そんなむしけらのような者達を我が国と平等に相手せねばならんのです?」
「なぜ?……それが人としての道だからだ。
相手が小さい国であろうとなかろうと、何かを得るためにはこちらも何かを差し出す…
それは、極当たり前のことだと思うが…」
「ずいぶんと酷いおっしゃりようだ。
それでは、まるで私が人の道にはずれた人間のように聞こえますぞ。
実の息子にかける言葉とは思えませんな…」
「……ともかく、それだけは許さぬ。
話はそれだけだ。下がれ…」
「父上……そんなことでは、いつか足元をすくわれますぞ…」
カイラは不敵な微笑を浮かべ、部屋を後にした。
アルタナ国王アンドレアスは、玉座に片肘をつき、頭を抱えた。
一人息子のカイラとはいつもこんな風にぶつかってしまう。
ただぶつかるだけなら良いが、いつか、殺されてしまうのではないか…?
アンドレアスは、最近ではカイラの瞳の奥にそんな殺意を感じることさえあった。
(思い過ごしなら良いのだが…
とにかく、あれは、私とは違い過ぎるのだ…)
カイラの性格は、妃のイングリッドそのものだった。
プライドが高く、好戦的で、非常にわがままだ。
そっくりなのは性格だけに留まらず、顔つきもイングリッドに生き移しだった。
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ありがとうございます(●´ω`●)
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