278 / 697
042. 錬金術
5
しおりを挟む
「ユキ…
そうか…
じゃあ、いただくとするかな。」
おじいちゃんも、少し決まりの悪そうな顔をしていた。
「……ユキ…体調はどうだ?」
「うん…ちょっと腰が痛い。
あと、膝も…」
「そうか。
年取ると、いろんな所が痛むからな。」
そう言われて、あたしははたと気が付いた。
おじいちゃんも老人だったってことに…
いつも元気だから、労わる気持ちもあんまりなかったけど、きっとおじいちゃんにも痛む所はあったんだね。
「ユキ…本当にすまんかった…」
「おじいちゃん!そんなことより、この薬の逆の作用のものを作ったら、若返りの秘薬が出来るんじゃないの?!」
「え…っ?」
「絶対にそうだよ!
そしたらあたしも元に戻れるし、おじいちゃんも若返ることが出来るじゃない!」
「ユキ…」
「ねっ!そうしなよ…
あ……」
突然、あたしの身体に異変が起こった。
身体が熱い…昨日、あの薬を飲んだ時みたいに…
「ユキ!どうしたんじゃ?!
ユキ!」
「おじい…ちゃ…」
そう、昨日もこんな感じだった。
とても気分が悪くて…意識が…
「ユキ!!」
バランスを崩しかけたあたしの身体を、おじいちゃんが支えてくれた。
「おじい…あれ…?」
目の焦点があわない。
あたしは目をこすろうとして、眼鏡をかけていたことに気がついた。
眼鏡をはずすと、視界は一瞬にしてクリアになった。
「ユキ!戻ったぞ!」
「へ…?」
あたしは自分の手の皺がなくなってることに気が付いた。
(まさか…!?)
あたしはそのままお風呂場に走り、大きな鏡で自分の姿を確かめた。
「も…戻ってる!!」
「良かった…!
本当に良かったのぅ!」
「ありがとう、おじいちゃん!
……でも、なんで?」
「おそらく…有効期限が過ぎたんじゃ。」
「有効期限?」
「そう、薬の効き目が切れたということじゃ。
昨日からほぼ24時間じゃな。
120ccで24時間ということは…」
おじいちゃんはブツブツ言うと、あわててそこらへんの紙切れになにやら数式のようなものを書き始めた。
こうなると、キリの良い所まで来ないとおじいちゃんの耳には何も入らない。
あたしは、小さな溜息を一つ漏らして、台所に戻り、一人で食事の続きを始めた。
悲しい思いをしたけど、おじいちゃんの研究が一歩前に進んだ事は事実だし、今まで気付かなかったことにも気が付くことが出来て…
やっぱり、ここにいて良かった。
アメリカに行かずに良かった…なんて思いながら、あたしは二杯目のごはんをおかわりした。
そうか…
じゃあ、いただくとするかな。」
おじいちゃんも、少し決まりの悪そうな顔をしていた。
「……ユキ…体調はどうだ?」
「うん…ちょっと腰が痛い。
あと、膝も…」
「そうか。
年取ると、いろんな所が痛むからな。」
そう言われて、あたしははたと気が付いた。
おじいちゃんも老人だったってことに…
いつも元気だから、労わる気持ちもあんまりなかったけど、きっとおじいちゃんにも痛む所はあったんだね。
「ユキ…本当にすまんかった…」
「おじいちゃん!そんなことより、この薬の逆の作用のものを作ったら、若返りの秘薬が出来るんじゃないの?!」
「え…っ?」
「絶対にそうだよ!
そしたらあたしも元に戻れるし、おじいちゃんも若返ることが出来るじゃない!」
「ユキ…」
「ねっ!そうしなよ…
あ……」
突然、あたしの身体に異変が起こった。
身体が熱い…昨日、あの薬を飲んだ時みたいに…
「ユキ!どうしたんじゃ?!
ユキ!」
「おじい…ちゃ…」
そう、昨日もこんな感じだった。
とても気分が悪くて…意識が…
「ユキ!!」
バランスを崩しかけたあたしの身体を、おじいちゃんが支えてくれた。
「おじい…あれ…?」
目の焦点があわない。
あたしは目をこすろうとして、眼鏡をかけていたことに気がついた。
眼鏡をはずすと、視界は一瞬にしてクリアになった。
「ユキ!戻ったぞ!」
「へ…?」
あたしは自分の手の皺がなくなってることに気が付いた。
(まさか…!?)
あたしはそのままお風呂場に走り、大きな鏡で自分の姿を確かめた。
「も…戻ってる!!」
「良かった…!
本当に良かったのぅ!」
「ありがとう、おじいちゃん!
……でも、なんで?」
「おそらく…有効期限が過ぎたんじゃ。」
「有効期限?」
「そう、薬の効き目が切れたということじゃ。
昨日からほぼ24時間じゃな。
120ccで24時間ということは…」
おじいちゃんはブツブツ言うと、あわててそこらへんの紙切れになにやら数式のようなものを書き始めた。
こうなると、キリの良い所まで来ないとおじいちゃんの耳には何も入らない。
あたしは、小さな溜息を一つ漏らして、台所に戻り、一人で食事の続きを始めた。
悲しい思いをしたけど、おじいちゃんの研究が一歩前に進んだ事は事実だし、今まで気付かなかったことにも気が付くことが出来て…
やっぱり、ここにいて良かった。
アメリカに行かずに良かった…なんて思いながら、あたしは二杯目のごはんをおかわりした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。
本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。

転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる