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042. 錬金術
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「ユキ!!これじゃ!」
「えっ?!」
物思いに耽っていたあたしの目の前に、いかにもあやしいビーカーが差し出された。
ビーカーの中には、緑色っぽい液体が入っていて、そこからは今まで嗅いだことのないような臭いと共に薄い煙のようなものが発生していた。
「おじいちゃん…もしかして、これが不老不死の薬…?」
「その通りじゃ!
わしの50余年の血と汗と努力の結晶じゃ!」
感激しているのか、ビーカーを持つおじいちゃんの手が震えている。
「そっか…良かったね!
おめでとう!
おじいちゃん!」
50年以上も苦労を重ねて来たんだから、もっと真面目に聞いてあげなくちゃいけなかったなとちょっと反省したあたしは、おじいちゃんにお祝の言葉を述べた。
もちろん、不老不死の薬っていうのは信用してないけど、おじいちゃんがそう思ってるならそれで良い…
本当に長い間、よく頑張ったよ!
「おまえの名も後世に残るぞ!」
「そうだね。
偉大な科学者であるおじいちゃんの孫だもんね!」
「そんなことじゃあ、ない!
人類初の不老不死の人間としてじゃ!」
「え…っ?!」
(おじいちゃん…今、なんて…?
人類初の不老不死の人間って…
………まさかっ?!)
あたしは、悪い予感を感じ、くるりと回れ右をした。
「あ、そうだ!
洗濯物、取りこまなくっちゃ!」
そう言いながら、片足を一歩前に出した所で、あたしはおじいちゃんに襟首を掴まれた。
「洗濯物なら、これを飲んだ後でええ…」
おじいちゃんの小さな奥目が妖しく光る…
恐ろしい程の威圧感を含んだその瞳にみつめられると、誰も逆らう事は出来ない…!
(…ま…いっか。
今までにも死ぬようなことはなかったんだし、おじいちゃんはこれでも医者の資格も持ってるんだし…)
あたしは自分にそう言い聞かせながら、おじいちゃんの差し出すビーカーを受け取った。
(大丈夫、大丈夫!!)
なるべく余計なことは考えないようにして、あたしは、ビーカーの中の液体を一気に飲み干した。
「えっ?!」
物思いに耽っていたあたしの目の前に、いかにもあやしいビーカーが差し出された。
ビーカーの中には、緑色っぽい液体が入っていて、そこからは今まで嗅いだことのないような臭いと共に薄い煙のようなものが発生していた。
「おじいちゃん…もしかして、これが不老不死の薬…?」
「その通りじゃ!
わしの50余年の血と汗と努力の結晶じゃ!」
感激しているのか、ビーカーを持つおじいちゃんの手が震えている。
「そっか…良かったね!
おめでとう!
おじいちゃん!」
50年以上も苦労を重ねて来たんだから、もっと真面目に聞いてあげなくちゃいけなかったなとちょっと反省したあたしは、おじいちゃんにお祝の言葉を述べた。
もちろん、不老不死の薬っていうのは信用してないけど、おじいちゃんがそう思ってるならそれで良い…
本当に長い間、よく頑張ったよ!
「おまえの名も後世に残るぞ!」
「そうだね。
偉大な科学者であるおじいちゃんの孫だもんね!」
「そんなことじゃあ、ない!
人類初の不老不死の人間としてじゃ!」
「え…っ?!」
(おじいちゃん…今、なんて…?
人類初の不老不死の人間って…
………まさかっ?!)
あたしは、悪い予感を感じ、くるりと回れ右をした。
「あ、そうだ!
洗濯物、取りこまなくっちゃ!」
そう言いながら、片足を一歩前に出した所で、あたしはおじいちゃんに襟首を掴まれた。
「洗濯物なら、これを飲んだ後でええ…」
おじいちゃんの小さな奥目が妖しく光る…
恐ろしい程の威圧感を含んだその瞳にみつめられると、誰も逆らう事は出来ない…!
(…ま…いっか。
今までにも死ぬようなことはなかったんだし、おじいちゃんはこれでも医者の資格も持ってるんだし…)
あたしは自分にそう言い聞かせながら、おじいちゃんの差し出すビーカーを受け取った。
(大丈夫、大丈夫!!)
なるべく余計なことは考えないようにして、あたしは、ビーカーの中の液体を一気に飲み干した。
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