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ルカ(聖夜月ルカ)

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041. 最後の審判

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 「あーーーっ!」



その事件の一週間後、俺は交通事故に遭った。



 (ここはどこだ?)



 俺は、広い草原のような場所にぽつねんと立っていた。



 『福本光一…審判の結果を伝える。
おまえの行き先は、地獄と決定した。」

おかしな格好をした中年の男が突然現れ、低い声でそう言った。



「えっ!?お、俺が…地獄に…!?
そ、それって、俺は死ぬってことなのか?そ、そんな…!」

『ほぅ、不服か。
ならば、これを見るが良い…』

男は、空を掌でゆっくりとなぞった。
すると、その部分がスクリーンみたいになって…



「いくら貧しいからって、泥棒までするとは…あんた、一体、どういう育て方してきたんだ!」

 新田の傍にいた中年の男が、どこかの狭く薄暗い玄関先で、中年の女性に怒鳴っていた。
 女性の隣には神妙な顔をした後藤がいた。



 「申し訳ございません!お金は来月には必ずお返しいたしますから…
どうぞお許し下さい!」

 女性は頭を床にこすりつけてそう言った。
 後藤も同じように頭を下げる。



 「もっとちゃんとしつけるんだな!」

そう言い遺して、新田と男はそこを出て行った。
それは新田の親子…この場所は後藤の家で、後藤のとなりの女性は後藤のお母さんなんだとすぐにわかった。



 「馬鹿!」

 女性が、後藤の頬を叩き、涙で潤んだ瞳で後藤を睨みつけていた。



 「おかしいと思ったよ。
でも、まさか人様のお金に手を付けるとは…
この恥さらしが!」

 「ち、違うよ!僕は本当にやってない。
 昨日のお金も、拾った財布を届けてそのお礼にもらったものなんだよ。」

 「まだそんな嘘を!」

 女性は再び後藤の頬を叩いた。
 髪を振り乱し、涙を流しながら、何度も何度も…



その光景を見ていると、たまらなく胸が痛んだ。
 俺のせいで…後藤は理不尽な目に遭っている。
 親にまで信じてもらえないのはどんなに悲しいことだろう…
しかも、たった一人の親にも酷い迷惑をかけることになって…



この時になって、俺はようやく自分の犯した罪の大きさに気が付いた。
 俺は一万円を盗んだだけじゃない。
 後藤とその家族の心に深い傷をつけてしまったんだと気がついた。
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