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041. 最後の審判
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『魔が差す』という言葉がある。
俺はあの時、その言葉通りになってしまったんだと思う。
放課後、別のクラスの友達と話してて、そろそろ帰ろうかと思い、俺は鞄を取りに教室に戻って来た。
その時、たまたま、近くの席に新田の手提げがあって…そこに財布が入ってるのが見えたんだ。
そう…本当に偶然、それが俺の目に入ったってだけのこと。
しかも、教室には俺一人だけ。
そこに深い意味はなかったと思う。
軽い好奇心…みたいなものだったのかもしれない。
俺は、その財布を引っ張り出した。
財布を開くと、一万円札が一枚入っていた。
俺は、反射的にその一万円札を抜き取った。
なぜそんなことをしてしまったのか、わからない。
無意識に俺は一万円札を抜き取ってたんだ。
確かに、金には不自由してた。
小遣いは月に一万円…だけどそんなのはすぐになくなってしまう。
学校の帰りにハンバーガーを食べたり、漫画本を買ったりしてると、月の半ばにはもうなくなってる。
そんな状態だったから、金を見たら押さえが効かなくなったのかもしれない。
人の金を盗むことが悪いことだと考えることすらなく、俺は金を取っていた。
(あっ!)
その時、教室の扉が開いた。
俺はその音に咄嗟に振り向く。
入って来たのは後藤だった。
真面目で地味で、ほとんどしゃべったことさえない奴だ。
俺は、後藤には背を向けてたから、多分、財布は見られてないとは思うけど、心配で心臓が口から飛び出しそうだった。
後藤は、俺と一瞬目が合った後、すぐに鞄を持って教室を出て行った。
やはり、見られてはなかったようだ。
俺はほっとして、胸を撫でおろした。
でも…もし、新田が金を盗まれたことに気付いたら…
後藤が、俺のことをチクるかもしれない。
そう思った時…俺は、またも無意識に動いていた。
後藤の机の中に、財布を隠したんだ。
本の奥の見えにくい所に…
もし、後藤が俺のことを言ったとしても、他には誰もいないんだ。
俺はいなかったと言えば良い。
しかも、後藤の机の中から財布がみつかれば、後藤のせいに出来るんじゃないかと…
そんなことを考えて…
そして、俺は、教室を後にした。
俺はあの時、その言葉通りになってしまったんだと思う。
放課後、別のクラスの友達と話してて、そろそろ帰ろうかと思い、俺は鞄を取りに教室に戻って来た。
その時、たまたま、近くの席に新田の手提げがあって…そこに財布が入ってるのが見えたんだ。
そう…本当に偶然、それが俺の目に入ったってだけのこと。
しかも、教室には俺一人だけ。
そこに深い意味はなかったと思う。
軽い好奇心…みたいなものだったのかもしれない。
俺は、その財布を引っ張り出した。
財布を開くと、一万円札が一枚入っていた。
俺は、反射的にその一万円札を抜き取った。
なぜそんなことをしてしまったのか、わからない。
無意識に俺は一万円札を抜き取ってたんだ。
確かに、金には不自由してた。
小遣いは月に一万円…だけどそんなのはすぐになくなってしまう。
学校の帰りにハンバーガーを食べたり、漫画本を買ったりしてると、月の半ばにはもうなくなってる。
そんな状態だったから、金を見たら押さえが効かなくなったのかもしれない。
人の金を盗むことが悪いことだと考えることすらなく、俺は金を取っていた。
(あっ!)
その時、教室の扉が開いた。
俺はその音に咄嗟に振り向く。
入って来たのは後藤だった。
真面目で地味で、ほとんどしゃべったことさえない奴だ。
俺は、後藤には背を向けてたから、多分、財布は見られてないとは思うけど、心配で心臓が口から飛び出しそうだった。
後藤は、俺と一瞬目が合った後、すぐに鞄を持って教室を出て行った。
やはり、見られてはなかったようだ。
俺はほっとして、胸を撫でおろした。
でも…もし、新田が金を盗まれたことに気付いたら…
後藤が、俺のことをチクるかもしれない。
そう思った時…俺は、またも無意識に動いていた。
後藤の机の中に、財布を隠したんだ。
本の奥の見えにくい所に…
もし、後藤が俺のことを言ったとしても、他には誰もいないんだ。
俺はいなかったと言えば良い。
しかも、後藤の机の中から財布がみつかれば、後藤のせいに出来るんじゃないかと…
そんなことを考えて…
そして、俺は、教室を後にした。
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