Gift

039. 太陽の希望

３

「……大丈夫ですか？」

 「……え？」



ふと聞こえた声に、リーザははっと顔を上げた。
そこには、馬に乗った青年がいた。
 青年は、とても心配そうにリーザをみつめる。



 「あ…だ、大丈夫です。」

リーザは、そう答えると、頬の涙を手で拭った。
 青年は軽い所作で、馬から降り、リーザの傍に歩み寄った。



 「……どうぞ。」

 青年は懐から白いハンカチを差し出した。



 「あ、ありがとうございます。」

リーザは俯いたまま、そのハンカチを受け取った。
 青年は、リーザの傍に腰を降ろした。



 「僕は、シリウスと言います。
 今、あてのない旅をしているところで…ここに美しい湖があると聞いて、やって来ました。
 噂通り、とても美しい湖ですね。」

 「あ、わ…私は、リーザです。
この先の村に住んでいます。」

 「……何か、お辛いことでもあったのですか？
 良かったら…僕に話してくれませんか？」

 「わ…私……」



 見ず知らずの人に打ち明けるような話ではない。
そうは思いつつも、重すぎる心は苦しくてたまらず…
それに、シリウスの優しい眼差しに安堵したのもあってか、リーザはぽつりぽつりと、自分の事情を話していた。



 「……なんて酷いことを！」

シリウスは、憤慨した様子で地面を叩きつけた。



 「でも、私……」

 「心配することはありません。
 僕を村長の所へ連れて行って下さい。」

 「村長さんの所へ…ですか？」

 「そうです！さぁ、行きましょう！」



シリウスは立ち上がり、リーザに片手を差し伸べた。