Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
243 / 697
037. 魔女と魔法使い

しおりを挟む




「やった!見ろよ!
魔物達が逃げてくぜ!
俺達の魔法もなかなかたいしたもんだな。」

「たまたま相手が弱かっただけよ。
馬鹿なこと言ってないで、さぁ、今のうちに逃げるわよ!」

ミーシャとマルゴがその場から離れようとした時だった。
異様な気配と共に、一匹の魔物が二人の前に姿を現した。

外見からして今までの奴等とは明らかに違う。
身の丈は軽くマルゴ達の倍はある。
その手には剣を思わせる長く鋭い鍵爪があり、耳まで裂けた口にはまるで鮫のような牙がびっしりと生えていた。



「……あの爪…見た?」

「い、言わないで!!
ど、ど、どうすんのよ!
私、あんなのに食べられたくない!」

「お、俺だってそんなのいやに決まってるだろ!
で…でも、人は見掛けによらないっていうから…
あの魔物も、意外とたいしたことなかったりして…ははは…」

引きつった笑いを浮かべるマルゴに、ミーシャが冷静な声で呟いた。



「じゃ…やってみれば?」

「お…おうっ!」

マルゴは深呼吸をして、火の魔法を魔物に投げ付けた。
ピンポン玉程の火の玉が、ふよふよと風に乗って魔物の傍に飛び、魔物は、その火の玉を鼻息で吹き消した。



「……見掛けによったわね…」

「ど、ど、どうしよう?!」

魔物は、一歩、また一歩と二人の傍に近付いてくる。
ミーシャの放った風の魔法も、魔物のまわりの木の葉を舞い上がらせただけで何の効果もなかった。



「ど、どうする?!やばいぞ!」

「いや!私、絶対にいや!
こんな所で、あんたと一緒に死ぬのなんていや~!!」

「俺だって!!」



追い詰められたマルゴとミーシャは同時に魔法を放った。
ミーシャの起こした風に煽られたマルゴの情けない火の玉が、いつもの何倍もの大きさになり、スピードを上げて魔物の顔にぶつかり、魔物は予想外に大きな叫び声をあげた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最愛から2番目の恋

Mimi
恋愛
 カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。  彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。  以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。  そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。  王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……  彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。  その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……  ※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります  ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、登場しておりません  ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります

ヒロインは始まる前に退場していました

サクラ
ファンタジー
とある乙女ゲームの世界で目覚めたのは、原作を知らない一人の少女 産まれた時点で本来あるべき道筋を外れてしまっていた彼女は、知らない世界でどう生き抜くのか。 母の愛情、突然の別れ、事故からの死亡扱いで目覚めた場所はゴミ捨て場 捨てる神あれば拾う神あり? 人の温かさに触れて成長する少女に再び訪れる試練。 そして、本来のヒロインが現れない世界ではどんな未来が訪れるのか。 主人公が7歳になる頃までは平和、ホノボノが続きます。 ダークファンタジーになる予定でしたが、主人公ヴィオの天真爛漫キャラに ダーク要素は少なめとなっております。 同作品を『小説を読もう』『カクヨム』でも配信中。カクヨム先行となっております 追いつくまで しばらくの間 0時、12時の一日2話更新としております

幸福サーカス団

もちもちピノ
ホラー
幸福サーカス団 なんでも願いを叶えてくれるサーカス団のお話 幸福サーカス団とは 全ての人に幸せを提供するサーカス団 でも幸せにはルールがあるんだ なんでもいいと言ってはダメ 願いを叶えたお客様は決して団員を傷つけてはいけない。 そして願いがどの方向に行ってもサーカス団に責任はない そんなサーカス団とお客様と不思議な事件のお話

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。 「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」 そして、目的地まで運ばれて着いてみると……… 「はて?修道院がありませんわ?」 why!? えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって? どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!! ※ジャンルをファンタジーに変更しました。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

婚約破棄を告げた瞬間に主神を祀る大聖堂が倒壊しました〜神様はお怒りのようです〜

和歌
ファンタジー
「アリシア・フィルハーリス、君の犯した罪はあまりに醜い。今日この場をもって私レオン・ウル・ゴルドとアリシア・フィルハーリスの婚約破棄を宣言する──」  王宮の夜会で王太子が声高に告げた直後に、凄まじい地響きと揺れが広間を襲った。 ※恋愛要素が薄すぎる気がするので、恋愛→ファンタジーにカテゴリを変更しました(11/27) ※感想コメントありがとうございます。ネタバレせずに返信するのが難しい為、返信しておりませんが、色々予想しながら読んでいただけるのを励みにしております。

処理中です...