Gift

030. 不浄なる痕

３

＊



 「智司、久しぶり！」

 従兄弟の正博さんから、久しぶりの電話があった。



 「お久しぶりです。」

 「突然なんだけど、智司…最近、近くで殺人事件があっただろ？」

 「あ、はい。」

 「殺された子について何か知ってるか？」

 「いえ…特には…」

 正博さんは、週刊誌の記者をしている。
 僕が輝と親しいことがわかったら、根掘り葉掘り様々なことを訊ねられるだろう。
だから、僕は知らないふりを決めこんだ。



 「犯人は、やっぱり容疑者の高校生なんでしょうか？」

 「そうみたいだな。
 庭には容疑者の足跡ゲソコンがあったらしいし、目撃者もいる。
 被害者の体はご丁寧にも綺麗に洗われてたらしく、かろうじてわかったのが血液型だけらしいんだが、その血液型と容疑者の血液型も合致しているらしい。
あ、それとおかしな噂を聞いた。」

 「おかしな…噂？」

 「被害者の胃の中から石が見つかったらしいんだ。」

 「……石？」



 石と聞いた時、急に輝のことが頭を過った。
 輝は、パワーストーンが好きで、僕も彼から石のストラップをもらったことがあったからだ。



 「その石って、何の石だったんですか？」

 「え…？確か、ムーンストーンだったと思う。」

 「そう…ですか。」



その晩から、僕は石のことが頭から離れなくなった。
 普通の人間が石を飲み込むようなことはない。
しかも、その石はおそらく澪が死の間際に飲んだものだ。
そんなことをする理由…それは、明確な意図があってのことだとしか思えない。
つまり、それは澪のダイイングメッセージだということだ。



そんなことを考えているうち、僕は衝撃的な真相に辿り着いてしまった。