Gift

029. 外つ国の遺産（とつくにのいさん）

４

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 「う…うぅん…」


チャックが目を開くと、そこには若い男女がいた。
チャックは寝台に寝かされており、その二人は、チャックが今までに見たことのないような服装をしていた。



 「こ、ここは…？」

 男女は、顔を見合わせて何事かを言い、男の方がチャックを見てなにか話したが、チャックには理解できなかった。
そのうち、その男性がその場から立ち去った。



 男性はすぐに年配の男性を伴って戻って来た。



 「あなたは、もしやコレークの方ですか？」

 「えっ！そ、その通りです！あなたはコレークの言葉がわかるのですね！
 僕は、ルドラに旅行に来ました。
あ、あの…もしかして、あなたたちが僕を助けて下さったのですか？」

 「はい、このルーシアがあなたをみつけ、ミュッツが助けました。」

 「そうなんですか。どうもありがとうございました！」

 若い女がルーシア、男がミュッツで、ふたりは兄妹だということだった。
チャックはただ溺れただけではなく、熱が高く、二日ほど眠り続けていたのだという。
その場所は、ルドラの国の原住民族・サマラ族の住処だということだった。



チャックは二日もすると、元気を取り戻した。
コレーク語を話せるギアを通訳にして、チャックはいろいろなことを訊ね、気が付けば、すでに三か月の時が流れていた。
その間に、チャックは片言のルドラ語を覚え、ルーシアたちはコレーク語を覚え、ギアがいなくてもそれなりに意志の疎通が出来るようになっていた。



 「それじゃあ、あの水の中の町はサマラ族のために作られたものなんですか？」

 「そうです。不思議なことに、あの町を作ったのはサマラの者でもルドラの者でもないと言われています。」

 「ええっ！？では誰が！？」

 「それはわかりません。ただ、然るべき時にサマラ族のためにあの町は使われる…と、昔からそう言い伝えられているのです。」

チャックは、その伝説にとても興味を引かれ、しばらくサマラ族のところに身を寄せ、水の中の町について調べてみることに決めた。