182 / 697
029. 外つ国の遺産(とつくにのいさん)
1
しおりを挟む
(わぁ…良い眺めだ…)
チャックは、山の頂上から眼下に広がる景色をみつめ、うっとりと目を細めた。
チャックのパイナップルみたいな髪が、風に揺れる。
(よし、決めた!)
チャックは、深く頷いた。
*
「なんだって?他所の国に?」
「うん、決めたんだ。」
「決めたって…あんた、帰って来たばかりじゃないか。」
「決めたから帰って来たんだよ。」
チャックは、久しぶりに故郷に戻った。
昔から旅行が好きで、気が向いたらすぐに旅に出てしまい、チャックが家にいることはほとんどなかった。
そんなチャックに母親も半ば諦め、自由にさせてはいたが、今度は海を渡り、隣の大陸の国に行くと言う。
さすがにそれには良い顔は出来なかった。
「チャック…」
「ストップ!お小言ならいらないよ。
僕はもう決めたんだから…」
「でも……」
「大丈夫だって、母さん。
国内も外国もそんなに変わらないって。
何も心配することなんてないよ。」
母親は大きな溜め息を吐き出した。
チャックには何を言っても、無駄だろうと悟ったからだ。
チャックは、山の頂上から眼下に広がる景色をみつめ、うっとりと目を細めた。
チャックのパイナップルみたいな髪が、風に揺れる。
(よし、決めた!)
チャックは、深く頷いた。
*
「なんだって?他所の国に?」
「うん、決めたんだ。」
「決めたって…あんた、帰って来たばかりじゃないか。」
「決めたから帰って来たんだよ。」
チャックは、久しぶりに故郷に戻った。
昔から旅行が好きで、気が向いたらすぐに旅に出てしまい、チャックが家にいることはほとんどなかった。
そんなチャックに母親も半ば諦め、自由にさせてはいたが、今度は海を渡り、隣の大陸の国に行くと言う。
さすがにそれには良い顔は出来なかった。
「チャック…」
「ストップ!お小言ならいらないよ。
僕はもう決めたんだから…」
「でも……」
「大丈夫だって、母さん。
国内も外国もそんなに変わらないって。
何も心配することなんてないよ。」
母親は大きな溜め息を吐き出した。
チャックには何を言っても、無駄だろうと悟ったからだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。大学時代のクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。屋敷で不審な事件が頻発しているのだという。かつての同級生の事故死。密室から消えた犯人。アトリエにナイフで刻まれた無数のX。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の6人は大学時代、この屋敷でともに芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。6人の中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
【番外編】貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
『貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。』の番外編です。
本編にくっつけるとスクロールが大変そうなので別にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる