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ルカ(聖夜月ルカ)

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027. 昏き理(くらきことわり)

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約束した時間に、約束した場所に行くと、すでに彼はその場所にいた。

「あ…携帯の人…」

彼はそう言って、私に携帯を差し出した。

「本当にどうもありがとうございました。
あの…もし良かったらお礼にお茶でも…」

「え…?良いの…?」

「って言っても、そこのファーストフードですけど、そんなので良ければ…」

彼は微笑んで頷き、私達は、すぐ近くのファーストフード店に入った。

彼はちょうど小腹が空いていたらしく、お金は出すからセットにすると言い出した。
じゃ、私も…と、彼よりボリュームの少ないセットをオーダーした。

私がお金を出そうとすると彼はとまどった顔をして遠慮した。
いえ、私が…いや、俺が…と、まるでおばさん達のようなやりとりをしながら、強引に私がお金を払った。

「本当に助かりました。ありがとうございました。」

「そんなに何度も言わなくて良いよ。
それに携帯拾っただけでこんなことまでしてもらって…俺の方が申し訳ない感じだよ。」

「そんなことありません…
もし、悪い人に拾われてたらどんなことになったか…」

「言われてみればそうだね。最近は物騒な事件が多いもんね。」

「今朝の占いでは、ラッキーアイテムが携帯って出てたのに、こんなことになるなんて…」

「おごってもらえる俺にとったら、ラッキーアイテムだったけど…」

「あの…星座は何座ですか?」

「俺は牡羊座だけど…」

「うそっ!じゃあ、あの占い当たってたのかも…!」

「ってことは、まさか君も牡羊座?」

「そうです。」

本当は牡羊座なんかじゃない。
でも、私はそう嘘を吐いた。

「へぇ~っ!すごい偶然だね。」

「本当ですね!
あ…でも、私にとってもラッキーアイテムだったのかも…」

「え?なんで?」

「だって……携帯を落とさなかったら……
……知り合わなかったわけだし……」

「え?!」

彼は一瞬動きが止まり、みるみるうちに頬が赤く染まっていった。

「あ、ごめんなさい。
わ、私、何言ってるんだろう…もう、やだっ!」

彼は笑いながら、焦ってハンバーガーを食べていた。
ルックスは良くも悪くもない。
極めて普通の高校生と言った所だが、あの様子では彼女なんてものはいないだろうと思えた。
その方が私にとっては都合が良い。 
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