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ルカ(聖夜月ルカ)

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026. 堕ちた聖域

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(…ここが女神の森……)

心地良い風が通り抜け、温かな太陽の光が降り注ぐ…
時折、小鳥達が可愛らしい鳴き声を発しながら飛び交い、どこからか甘い花の香りが風に乗って運ばれて来る。

(女神の森というのにふさわしい場所だな…)

少し前のことだった。
私は旅の途中で、恋の願いを叶えてくれるというこの女神の森のことを知った。

特にあてのある旅ではない。
そんな所があるのなら、少し寄ってみようか…
そんな軽い気持ちだった。

森の一角にはこの場所にはなんとなく不似合いな粗末な木の台座があった。

近くの村の者の話によると、ここには森の女神が住むという。
それは昨年から突然始まった。
ある男が森の近くを通りがかった時に不思議な声を聞いた…

「なにか…食べ物を…」

あたりを見まわしたがそこには誰もいなかった。
男は怖くなり、持っていた自分の弁当をその場に置いて逃げ帰った。

それから数日後、男はひょんなことから隣村のとても美しい娘と知り合い、あっという間に2人は恋に落ち結婚した。

「これは、神のお導きに違いない…!」

男の話は狭い村の中にあっという間に広がった。

男の真似をして、森の中に食べ物を置いていく者が現れた。
すると、その男もまたすぐに素敵な女性と巡り合うことが出来た。

「間違いない!
あの森には女神様が住まわれているんだ!」

恋の願いを叶えてくれる森の女神の噂は、瞬くうちに広がって行った。

森は神聖な場所となり、いつの間にか誰が決めたのかわからない決め事が出来あがっていた。

祈りを捧げる時以外には決して足を踏み入れてはいけない。
貢物を欠かさないようにする。
暗くなってからは入ってはいけない。

村人達はこの決め事をしっかりと守っていた。

私は、台座の前に持ってきた果物を供え、両手を組んで祈りを捧げた。

(……森の女神よ…
どうか、私を理想の女性とめぐり会わせて下さい…)
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