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025. 散歩
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(そうか…
ヨンヨンは時空の狭間に入り込んで…
これは厄介だな…)
「ヨンヨン…セージさんのいる宿屋は、この世界にはないんだ。」
「この世界には…ない?
どういうこと?」
「う~ん…なんて言ったら良いかなぁ…」
草間は、ヨンヨンに返す言葉に詰まった。
「よし、わかった!
じゃあ、僕が一緒にもやもやを探してあげるよ。
もしも、それがみつかればそこからきっと元の世界に帰れるから。」
「本当?ありがとう!
あ…そうだ…だったら、もうひとつお願いして良いかな?」
「何?」
「草間…ボクと友達になってくれる?」
ヨンヨンの可愛いお願いに、草間はふっと頬を緩めた。
「こちらこそ、よろしくね。」
「ありがとう!草間!」
ヨンヨンは嬉しそうに草間の周りを羽ばたきまわり、そして、そっと草間の肩に舞い降りた。
*
「そう、ありがとうね。」
それから、草間とヨンヨンは、もやもやを探し、あたりを歩き回った。
木の精や、花の精、おしゃべりな小鳥達に情報を聞きまわるが、これといって重要な手掛かりは得られなかった。
「……ボクがいなくなったらセージはどうするんだろう?」
少しずつ色を変え始めた空を見上げ、ヨンヨンは心細げに呟いた。
「セージさんは、ヨンヨンの友達なの?」
「うん、そうだよ。
都会に行きながら、セージに優しくしてくれたばあちゃんみたいな人を探しに行くところだったんだ。」
「そっか、ヨンヨンが急にいなくなったら、きっとびっくりするだろうね。」
「そうだね、セージはまだ寝てたけど、もう起きてるはずだもんね。」
「じゃあ、もっと頑張って探さなきゃね。」
そう言った時、草間は目の端におかしなものをみかけた。
「……あ!ヨンヨン!あれ!」
「えっ!?あっ!もやもやだ!」
「そうか、やっぱり時空の歪みはまだ近くにあったんだな。
ヨンヨン、あそこに近付くんだ!
そしたら、きっとセージさんの所に行けるよ!」
「本当?ありがとう、草間!」
ヨンヨンは、ぱたぱたと陽炎の傍に飛んで行く。
「ヨンヨン!さようなら!」
「草間!ボク、またここに来るから…!」
ちっちゃな手を振るヨンヨンに、草間は同じように手を振る。
ヨンヨンは時空の狭間に入り込んで…
これは厄介だな…)
「ヨンヨン…セージさんのいる宿屋は、この世界にはないんだ。」
「この世界には…ない?
どういうこと?」
「う~ん…なんて言ったら良いかなぁ…」
草間は、ヨンヨンに返す言葉に詰まった。
「よし、わかった!
じゃあ、僕が一緒にもやもやを探してあげるよ。
もしも、それがみつかればそこからきっと元の世界に帰れるから。」
「本当?ありがとう!
あ…そうだ…だったら、もうひとつお願いして良いかな?」
「何?」
「草間…ボクと友達になってくれる?」
ヨンヨンの可愛いお願いに、草間はふっと頬を緩めた。
「こちらこそ、よろしくね。」
「ありがとう!草間!」
ヨンヨンは嬉しそうに草間の周りを羽ばたきまわり、そして、そっと草間の肩に舞い降りた。
*
「そう、ありがとうね。」
それから、草間とヨンヨンは、もやもやを探し、あたりを歩き回った。
木の精や、花の精、おしゃべりな小鳥達に情報を聞きまわるが、これといって重要な手掛かりは得られなかった。
「……ボクがいなくなったらセージはどうするんだろう?」
少しずつ色を変え始めた空を見上げ、ヨンヨンは心細げに呟いた。
「セージさんは、ヨンヨンの友達なの?」
「うん、そうだよ。
都会に行きながら、セージに優しくしてくれたばあちゃんみたいな人を探しに行くところだったんだ。」
「そっか、ヨンヨンが急にいなくなったら、きっとびっくりするだろうね。」
「そうだね、セージはまだ寝てたけど、もう起きてるはずだもんね。」
「じゃあ、もっと頑張って探さなきゃね。」
そう言った時、草間は目の端におかしなものをみかけた。
「……あ!ヨンヨン!あれ!」
「えっ!?あっ!もやもやだ!」
「そうか、やっぱり時空の歪みはまだ近くにあったんだな。
ヨンヨン、あそこに近付くんだ!
そしたら、きっとセージさんの所に行けるよ!」
「本当?ありがとう、草間!」
ヨンヨンは、ぱたぱたと陽炎の傍に飛んで行く。
「ヨンヨン!さようなら!」
「草間!ボク、またここに来るから…!」
ちっちゃな手を振るヨンヨンに、草間は同じように手を振る。
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