Gift

025. 散歩

１

＊



 （本当に良く眠ってるなぁ…）



 小さな安宿の粗末なベッドで、セージは本当に気持ち良さそうに眠ってた。
 珍しく早くに目の覚めたヨンヨンは、セージが起きるまで、近くを散策することにした。



 （都会っていうのはまだ遠いのかな？
だいぶ歩いたのに、まだ着かないって…都会っていうのはずいぶん遠い所にあるんだな。）



そんなことを考えながら、ヨンヨンは宿の周りをふよふよと飛んでいた。
そよぐ風に、大きな木の葉がさやさやと揺れている。



 （……ん？なんだ、あれ？）



 突き抜けるような青い空の一部に、ヨンヨンはもやもやと揺れる陽炎のようなものをみつけた。
 好奇心旺盛なヨンヨンは、吸い寄せられるようにその場所に近づいて行く。



 （……なんだろう？）



ヨンヨンがそっと手を伸ばした瞬間、ヨンヨンは悲鳴のひとつの上げる暇なく、そのまま陽炎に吸い込まれてしまった。