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023. 宝物
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それは、ジェシカが6つか7つの時、ある少年と知り合ったことが始まりだった。
ジェシカより少しだけ年下に見えたその少年は、名をクライドと言った。
遠くの町から、祖父の遺した別荘に遊びに来ているのだという。
別荘には古い離れがあった。
古くなったその離れは近々取り壊されることになっており、危ないから近寄らないように言われていたらしいが、そう言われるとなおさらいってみたくなるのが子供というものだ。
ある日、ジェシカとクライドは、離れで遊んでいる時に不思議な宝箱をみつけた。
小さめの宝箱には、鍵穴がない。
だが、どうやってもその蓋は開かないのだ。
宝箱をゆすってみると、カタカタと音がする。
明らかに中には何かが入っているのだ。
2人は時間を忘れ、たたいたり持ち上げたり高い所から落としてみたり…思いつく限り、様々なことを試してみたが、蓋は一向に開く気配が感じられなかった。
「わかった!きっとこれって魔法の鍵かなんかじゃないと開かないんだよ!」
「魔法の鍵?
そんなのどこにあるの?」
「それはわからないよ。
でも、きっとこの世界のどこかにあるんだ。」
「どこかって…どこよ!」
「だから、僕にはわからないってば!
トレジャー・ハンターならみつけられるかもしれないけどな。」
「トレジャー・ハンターって、なに?」
不思議そうな顔をしてジェシカが問うた。
「なんだ、ジェシカ、そんなことも知らないのか?
トレジャー・ハンターっていうのはな、簡単にいうと宝捜しのプロさ!
普通ではみつけられないようなお宝をみつける専門家さ!」
「じゃ、私が大人になったらトレジャー・ハンターになって、魔法の鍵をみつけてこの宝箱を開けてあげるわ。」
「無理だね。
女のトレジャー・ハンターなんてめったにいないんだ。
それに、魔法の鍵はきっととってもみつけにくいから、ジェシカになんてみつけられっこないさ。
僕ならみつけられるかもしれないけど…」
「何言ってんのよ!
あんたなんて、私より足も遅いし木登りも下手だし、かくれんぼもすぐにみつかるじゃない。
あんたになんて出来るわけないわ。」
ジェシカより少しだけ年下に見えたその少年は、名をクライドと言った。
遠くの町から、祖父の遺した別荘に遊びに来ているのだという。
別荘には古い離れがあった。
古くなったその離れは近々取り壊されることになっており、危ないから近寄らないように言われていたらしいが、そう言われるとなおさらいってみたくなるのが子供というものだ。
ある日、ジェシカとクライドは、離れで遊んでいる時に不思議な宝箱をみつけた。
小さめの宝箱には、鍵穴がない。
だが、どうやってもその蓋は開かないのだ。
宝箱をゆすってみると、カタカタと音がする。
明らかに中には何かが入っているのだ。
2人は時間を忘れ、たたいたり持ち上げたり高い所から落としてみたり…思いつく限り、様々なことを試してみたが、蓋は一向に開く気配が感じられなかった。
「わかった!きっとこれって魔法の鍵かなんかじゃないと開かないんだよ!」
「魔法の鍵?
そんなのどこにあるの?」
「それはわからないよ。
でも、きっとこの世界のどこかにあるんだ。」
「どこかって…どこよ!」
「だから、僕にはわからないってば!
トレジャー・ハンターならみつけられるかもしれないけどな。」
「トレジャー・ハンターって、なに?」
不思議そうな顔をしてジェシカが問うた。
「なんだ、ジェシカ、そんなことも知らないのか?
トレジャー・ハンターっていうのはな、簡単にいうと宝捜しのプロさ!
普通ではみつけられないようなお宝をみつける専門家さ!」
「じゃ、私が大人になったらトレジャー・ハンターになって、魔法の鍵をみつけてこの宝箱を開けてあげるわ。」
「無理だね。
女のトレジャー・ハンターなんてめったにいないんだ。
それに、魔法の鍵はきっととってもみつけにくいから、ジェシカになんてみつけられっこないさ。
僕ならみつけられるかもしれないけど…」
「何言ってんのよ!
あんたなんて、私より足も遅いし木登りも下手だし、かくれんぼもすぐにみつかるじゃない。
あんたになんて出来るわけないわ。」
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