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022. 日常風景
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私の口許に小さな笑みが浮かんだ。
「すごいね、その人…
家まで来るなんて…」
「きっと、兄貴が電話に出ないから、家、探して来たんだろうな。
そこまでされると、ちょっとひくよな。
っていうか、あんな美人なのになんで兄貴になんか…」
「……その人、美人だったの?」
「うん、かなりの…」
「私より…?」
「うん!…あ、でも、可愛いっていう点では水青の方が上だけどな…
なんか、モデルか女優みたい…
スタイルもすごくよくて胸なんか…あ…」
「どこ見てんのよ!咲也のエッチ!」
「だって、見る気なくてもあんなに大きいと誰だって目がいっちゃうよ。
兄貴もあんな良い女のどこが不満なんだろうな。」
「性格が悪いのよ。」
「そっか…そうだよな。
やっぱりあの子は自分に自信があるから、あんなに積極的に行動出来るんだろうな。」
「でも、きっとお兄さんは相手にしないよね。」
「それはわからないぞ。
兄貴だって男だしな。
バレンタインまでにもっと積極的に迫られたら、急に気が変わるってこともあるかもしれないさ。」
……そんなことあるわけない…
「これ、どうしよう?」
咲也が持った小さな包みを、私はもぎ取るように手にすると、思いっきりゴミ箱に押し込んだ。
「あーーーーーっっ!!」
咲也が声をあげて、包みをゴミ箱から出して中を確認する。
「なぁ~んだ、スポンジケーキじゃない…」
「水青、すごいことするな…」
「だって、咲也、それの処分のことで困ってたじゃない…」
「まぁ、そりゃあそうだけど…」
「これで良いのよ…」
こんなことしても無駄なんだから…
あの人は、あなたのことなんて好きにならないんだから…
テレビでは、爆弾をしかけられたビルががらがらと砂のように崩れて土煙をあげていた。
「すごいね、その人…
家まで来るなんて…」
「きっと、兄貴が電話に出ないから、家、探して来たんだろうな。
そこまでされると、ちょっとひくよな。
っていうか、あんな美人なのになんで兄貴になんか…」
「……その人、美人だったの?」
「うん、かなりの…」
「私より…?」
「うん!…あ、でも、可愛いっていう点では水青の方が上だけどな…
なんか、モデルか女優みたい…
スタイルもすごくよくて胸なんか…あ…」
「どこ見てんのよ!咲也のエッチ!」
「だって、見る気なくてもあんなに大きいと誰だって目がいっちゃうよ。
兄貴もあんな良い女のどこが不満なんだろうな。」
「性格が悪いのよ。」
「そっか…そうだよな。
やっぱりあの子は自分に自信があるから、あんなに積極的に行動出来るんだろうな。」
「でも、きっとお兄さんは相手にしないよね。」
「それはわからないぞ。
兄貴だって男だしな。
バレンタインまでにもっと積極的に迫られたら、急に気が変わるってこともあるかもしれないさ。」
……そんなことあるわけない…
「これ、どうしよう?」
咲也が持った小さな包みを、私はもぎ取るように手にすると、思いっきりゴミ箱に押し込んだ。
「あーーーーーっっ!!」
咲也が声をあげて、包みをゴミ箱から出して中を確認する。
「なぁ~んだ、スポンジケーキじゃない…」
「水青、すごいことするな…」
「だって、咲也、それの処分のことで困ってたじゃない…」
「まぁ、そりゃあそうだけど…」
「これで良いのよ…」
こんなことしても無駄なんだから…
あの人は、あなたのことなんて好きにならないんだから…
テレビでは、爆弾をしかけられたビルががらがらと砂のように崩れて土煙をあげていた。
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