Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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022. 日常風景

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テレビでは、咲也おすすめの映画が派手なカーチェイスを繰り広げていた。
1台がカーブを曲がりきれず、壁に激突して灰色の煙と真っ赤な火柱をあげている…

それを見て、咲也が歓声をあげている。



どんな女なの?
あの人に猛アタックをかけてるって馬鹿な女は…

聞きたい…!
その女の事をもっと詳しく聞きたい。
でも、聞けない…



咲也はまだ続いているカーチェイスに魅了されたように、テレビに釘付けになっている。



「あ、咲也~、
そういえば…」

押さえきれずに、なんとかその女のことを聞こうとした時、間の悪い玄関のチャイムが鳴った。
咲也はそれに「は~い!」と子供のように返事をしながら玄関の方へ出て行った。

いや…やっぱり聞かなくて良かったのかもしれない。
そんなこと聞くのはおかしい…

……そうかしら?
普通の女の子なら、関係のない人のことでも面白そうな話には飛びつくはずだ。

そう、野次馬根性で聞いてるフリをすれば良い!

咲也が戻って来たら、こう言うのよ。

「ねぇ、ねぇ、咲也!
そういえば、さっきの話だけど…」

その時の会話をシミュレーションしてみる。

……そう、これで大丈夫…


それにしても、咲也は遅い。
一体、何をしているのか…


しばらくしてから、咲也はやっと部屋に戻って来た。
一目で不機嫌だということがわかる表情をしている。

「咲也、どうかしたの?」

「兄貴の奴…!!」

咲也は、座ると同時にテーブルの上に小さな包みを置いた。

「なに、これ?」

「知らないよ!」

「どうしたのよ、咲也…」



咲也が落ち着くのを待って聞いた所によると、今、来ていたのはあの女だったということだった。
当然、あの人に会いに来たので部屋に呼びに行くと、あの人は会いたくないと部屋から出て来なかったらしい。
女の方はなかなか帰らないし、あの人は部屋から出てこない…
仕方なく咲也は帰ってもらうことにしたらしいのだが、そしたらこれを渡してほしいと包みを受け取ったという。
咲也が包みをあの人に持っていくと、そんなものは受け取れないと拒否され、そして今ここにこうして置いてあるということだった。



いい気味… 
 
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