Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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022. 日常風景

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「なぁ、水青、土曜日はどうする?
また、ファンラン行く?
それとも、別のとこが良い?」

ファンランとは、近くのテーマパーク「ファンタジックランド」のこと。
咲也は何かというとここに行きたがる。
奮発して年間フリーパスなんてものを買ってしまったからなのか、それとも、女の子はこういう可愛いキャラクターのいるテーマパークが好きだと思い込んでいるせいなのか…

私だって別に可愛いものが嫌いなわけじゃない。
だけど、アトラクション1つ見るのにも長い間並ばなくてはならない。
長い時間並んで、見るのはほんの数分…

まるで、病院みたい…

それに、早起きして広い敷地内をさんざん歩き回るのは、かなりの体力を消耗する。
それだけじゃなく、必要以上に楽しい振りをしなくてはならないのだからたまらない…


「あ!私、見たい映画があるんだ~!」

「映画か~…
どんなやつ?」

咲也があまり映画好きでないことはわかってる。

彼は、じっとしていることと黙っていることが苦手なのだ。
映画に行けば、その両方を強要される。
彼にとっては2時間弱の時間が拷問にも等しい時間に感じられるのかもしれない。

「いやなら別に良いんだけど…」

「いや、別にいやだって言ってるんじゃないけどさ…
あ!そうだ!
じゃあさ、DVDを借りて家で見るってのはどうだ?」

家なら動き回る事もしゃべることも映画館よりはまだ寛容だ。

「でも、土曜日だとご両親が…」

「大丈夫!今度の土曜は二人とも仕事だから。
ってか、いいかげん、親にも水青のこと紹介したいんだけど…」

「え~~っ!
恥ずかしいから良いよ~!」

「そんなこと言って…
本当は俺のこと、本気じゃないんじゃないだろうな…」

「咲也、考えすぎだってば!
私が人見知りなの、知ってるくせに…」

「まぁ、そりゃあ知ってるけどさ…
兄貴にもまだダメなのか?」

「兄さんねぇ…
うん、きっと、もう少し慣れたら大丈夫になると思う。」


咲也との交際は順調だった。
いや、それが順調と言えるのかどうかはよくわからないけど、とりあえず何1つトラブルがない。
口喧嘩一つすることがないのだから、やはり順調と言って良いのだと思う。 
 
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