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ルカ(聖夜月ルカ)

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021. 奇跡

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(あいつの隠れ場所を探すなんて簡単なことだ…)

あれから10分…
世夜は、羊が駆け出して行った方向へ向かった。
先ほどの羊の走り具合を思い出しながら、世夜は羊と同じような速度で走る。
走っていると、いつの間にかショッピングセンターのはずれまで来ていた。
世夜は、腕時計の文字盤に目を落とす。



(ここまでで5分か…
なら、奴が隠れた場所はあそこだ!)



世夜は、近くに見える倉庫に目星を付けた。



(奴はあそこのどこかに隠れているに違いない。
暑いのにご苦労なことだな…
しかし、なんでこの俺がかくれんぼなんて子供の遊びをせにゃならんのだ…)

倉庫に向かう途中で、世夜は不意に足を止めた。
このまま奴を暑い所で我慢させておくのも面白い…とも考えたのだが、逆に「やっぱり世夜にはみつけられなかったのねん!俺の勝ちなのねん!」と偉そうにされるのもいまいましい。



「さっさと終わらせるか…」

世夜は、そのまま倉庫へ向かった。



* 



「メリー…なんだ、また来たのか?」

「今日も誰も来ないのん?」

「あぁ、来ないよ。
前にも言った通り、外からの人間なんてめったに来るもんじゃないんだ。
メリー、まさか、まだ外の世界のことが諦めきれないんじゃないだろうな?」

「そうじゃないのねん。
俺もジェリコさんみたいなガイドになろうと思って…」

「……なら良いけど…
外のことが忘れられない奴はここでは生きていけないからな。
早く忘れなきゃだめだぞ!」

「わかってるのん…」

「じゃ、俺は帰るからな。
メリーも早く帰って来いよ!」

「は~い!」



(俺ももう諦めてるのねん…
ここから帰った人が一人もいないことも知ってるのねん。
でも…それでも、やっぱりここに来てしまうのねん。
こんなことなら、皆にもっと優しくしとけばよかったのん。
世夜、俺のことまだ探してたらどうしよう…)



その時、門の中央の空気がゆらめき、何かが開いた感じと共に世夜がひょっこりと顔を出した。



「みつけた!」

「よ、よ、世夜!!」

羊は、信じられない想いで揺らめきの中に走りこむ!
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