Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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021. 奇跡

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(あ…あれっ?
おかしいのねん…
ここって、どこなのん?)

青い扉を開けると、そこは倉庫の外…になるはずだったのに、今、羊がいる場所はそことは明らかに違う場所だった。
羊はなんだか薄気味の悪い門のようなものの前に立っており、空はどんよりと暗く、薄ら寒い…



(さっきまであんなに暑かったのに、おかしいのねん。)



羊があたりをきょろきょろと見ていると、そこに一人の男が通りがかり、羊を見て驚いたような顔をしている。



「久しぶりだなぁ…新しい住人がここに来るのは…!
気の毒に…あんたも迷いこんじまったんだな。」

「新しい住人?
それって、もしかして俺のことなのん?」

「そうさ、あんた、ここに来る前に青い扉を開けなかったか?」

「そう!
俺、世夜とかくれんぼしてて、倉庫の中の青い扉を開けたら、ここにいたのん。
どうなってるのん?」

「そりゃあ災難だったな。
いや、ここもなれたらそんなに悪い場所でもないぜ。
ここはな…う~ん…わかりやすくいうと異次元の世界だな。
あんたがどんな世界に暮らしてたかは知らないが、とにかくそことはまったく違う世界なんだ。」

「なんで俺、そんな所にやって来たのん?」

「そりゃあ、あの青い扉がここへ繋がってるからだ。
ここは通称ドアーズっていう世界なんだけどな、誰かが何かの目的があって作ったのか、それとも自然のものなのか、そんなことは誰も知らない。
最初はここの住人は1人だけだったらしいんだが、あの青い扉のせいでここへ連れて来られたり、ここで結婚して子供が生まれたりして今ではけっこう大きな町になったんだ。」

「へぇ…それで元の世界に帰るのはどこからなのん?
俺、まだかくれんぼの途中なのねん。」

「馬鹿言ってんじゃないよ。
ここへ来た者はここで一生を終えるんだ。
ここから元の世界に戻れる扉なんてないんだよ。」

「う…うっそーん!」

「嘘じゃないさ。
まぁ、すぐには受け入れられないのも仕方がないが、そのうちわかるさ。
とにかく、俺と一緒に来な。
あ、俺はジェリコって言うんだ。
ここにやって来たばかりのあんたみたいな人にここのことを教えるガイドみたいな仕事をやってる。」

「え……」

「さぁ、行くぜ!」

羊には自分の置かれた事態がまだよく理解出来ていなかったが、見知らぬ場所で一人になるのが不安だったため、ジェリコについていくことにした。 
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