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019. 最初の冒険
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(なんてことだ……)
気が付けば、すでにひと月近い時が流れていた。
いつもあと少し…というところで、息子の手掛かりをみつけながら追いつくことが出来ず、僕は ローディスタ地方まで来てしまっていた。
(はぁ…)
鏡に映るのは、旅に出る前よりうんと老けた僕の顔…
もはや白髪がどうこう言ってる段階じゃない。
路銀も底を着いた。
何度も帰ろうと思ったけれど、きっとロジャーにぬいぐるみを渡さない限り、妻は鬼のような顔をして何度でも行って来いと言うだろうことはわかりきっていたから、帰れなかったのだ。
(……ん?)
ふと目の端をなにかが通り過ぎた気がして顔を上げると…
「ぎゃあーーー!」
そこにいたのは、ぐにゅぐにゅしたモンスターだった。
僕は立ち上がり、もう一度叫んだ!
すると、さらにどこからか走って来るような足音がして…
また、新たなモンスターか?と、僕の震えが激しくなった時…
「どりゃあ!」
煌く剣が、ぐにゅぐにゅしたモンスターをすぱっと半分に叩き斬った。
「あ、ありがとうご…あ、あれ?君は…」
「おじさん!どうしてここに?」
それは、同じ村のスティーブンだった。
ロジャーと同い年で、ロジャーより一か月程前に旅立った少年だ。
「スティーブン…実はロジャーに届けたいものがあってな。」
「そうだったんですか。
ロジャーとは一週間程前に会いましたよ。
僕も一緒に探しましょうか?」
「そ、そうか、それは助かるよ。」
口ではそう控えめに言ったけど、本当は飛び上がりたいほど嬉しかった。
スティーブンは頭も良く、体力もあり、小さい頃から畑仕事を手伝うという孝行者だ。
先程の剣さばきを見ても、頼りになることは間違いない。
「では、行きましょうか。」
「あ、あぁ、そうだな。
あ、そうだ、君の修行の邪魔をしては申し訳ないから、モンスターが出て来ても僕は手を出さないようにするよ。」
「そうしていただけると助かります。」
良かった、これで僕がへなちょこだということもバレないだろう。
彼の後をついて、僕は森の中に足を踏み入れた。
(なんてことだ……)
気が付けば、すでにひと月近い時が流れていた。
いつもあと少し…というところで、息子の手掛かりをみつけながら追いつくことが出来ず、僕は ローディスタ地方まで来てしまっていた。
(はぁ…)
鏡に映るのは、旅に出る前よりうんと老けた僕の顔…
もはや白髪がどうこう言ってる段階じゃない。
路銀も底を着いた。
何度も帰ろうと思ったけれど、きっとロジャーにぬいぐるみを渡さない限り、妻は鬼のような顔をして何度でも行って来いと言うだろうことはわかりきっていたから、帰れなかったのだ。
(……ん?)
ふと目の端をなにかが通り過ぎた気がして顔を上げると…
「ぎゃあーーー!」
そこにいたのは、ぐにゅぐにゅしたモンスターだった。
僕は立ち上がり、もう一度叫んだ!
すると、さらにどこからか走って来るような足音がして…
また、新たなモンスターか?と、僕の震えが激しくなった時…
「どりゃあ!」
煌く剣が、ぐにゅぐにゅしたモンスターをすぱっと半分に叩き斬った。
「あ、ありがとうご…あ、あれ?君は…」
「おじさん!どうしてここに?」
それは、同じ村のスティーブンだった。
ロジャーと同い年で、ロジャーより一か月程前に旅立った少年だ。
「スティーブン…実はロジャーに届けたいものがあってな。」
「そうだったんですか。
ロジャーとは一週間程前に会いましたよ。
僕も一緒に探しましょうか?」
「そ、そうか、それは助かるよ。」
口ではそう控えめに言ったけど、本当は飛び上がりたいほど嬉しかった。
スティーブンは頭も良く、体力もあり、小さい頃から畑仕事を手伝うという孝行者だ。
先程の剣さばきを見ても、頼りになることは間違いない。
「では、行きましょうか。」
「あ、あぁ、そうだな。
あ、そうだ、君の修行の邪魔をしては申し訳ないから、モンスターが出て来ても僕は手を出さないようにするよ。」
「そうしていただけると助かります。」
良かった、これで僕がへなちょこだということもバレないだろう。
彼の後をついて、僕は森の中に足を踏み入れた。
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