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019. 最初の冒険
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(いやだなぁ…)
次の日の朝、僕は、一度も身に付けたことのなかったカビ臭い皮の鎧を着こみ、一度も使ったことのなかった錆びついた剣を腰に携えた。
これらは僕が15の年に作ったものだ。
僕は成長が早かったのか、今と体格がさほど変わってないため、昔の鎧を着ることが出来たのだ。
背負った袋には、ロジャーの大切なぬいぐるみが入っている。
そう、僕は息子にぬいぐるみを届けに行くのだ。
この村には、今時時代遅れなしきたりのようなものがある。
15歳になった男子は、一年間、ローディスタ地方で修業をするのだ。
ローディスタというのは、ここから徒歩だと一か月程はかかるド田舎だ。
いまだにそのあたりにはモンスターが出没する。
モンスターとはいえ、それほど強いものではない。
かといって、侮れるほど弱いというわけでもない。
気を緩めれば、きっと怪我をするだろう。
それに、一年間はとにかく人に頼ることなく、自力で生活しなくてはならないのだ。
幸い、ローディスタには魚のいっぱいいる川や、木の実や果物をつける木もたくさんある。
モンスターや動物を狩って食べることだって出来る。
だが、まだ15歳の少年たちにとっては、それはなかなか大変なことだ。
でも、途中で村に戻って来た子はいまだ一人もいない。
皆、何とか頑張って一年を無事に過ごし、家に戻って来るのだ。
旅に出る前にはなかった逞しさを備えて。
そうやって、僕の村の男子は大人になった。
ただ一人をのぞいては…
次の日の朝、僕は、一度も身に付けたことのなかったカビ臭い皮の鎧を着こみ、一度も使ったことのなかった錆びついた剣を腰に携えた。
これらは僕が15の年に作ったものだ。
僕は成長が早かったのか、今と体格がさほど変わってないため、昔の鎧を着ることが出来たのだ。
背負った袋には、ロジャーの大切なぬいぐるみが入っている。
そう、僕は息子にぬいぐるみを届けに行くのだ。
この村には、今時時代遅れなしきたりのようなものがある。
15歳になった男子は、一年間、ローディスタ地方で修業をするのだ。
ローディスタというのは、ここから徒歩だと一か月程はかかるド田舎だ。
いまだにそのあたりにはモンスターが出没する。
モンスターとはいえ、それほど強いものではない。
かといって、侮れるほど弱いというわけでもない。
気を緩めれば、きっと怪我をするだろう。
それに、一年間はとにかく人に頼ることなく、自力で生活しなくてはならないのだ。
幸い、ローディスタには魚のいっぱいいる川や、木の実や果物をつける木もたくさんある。
モンスターや動物を狩って食べることだって出来る。
だが、まだ15歳の少年たちにとっては、それはなかなか大変なことだ。
でも、途中で村に戻って来た子はいまだ一人もいない。
皆、何とか頑張って一年を無事に過ごし、家に戻って来るのだ。
旅に出る前にはなかった逞しさを備えて。
そうやって、僕の村の男子は大人になった。
ただ一人をのぞいては…
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