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ルカ(聖夜月ルカ)

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017. まったく…

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小人は腰に下げた袋から、先っちょに宝石みたいなものがついた棒を取り出すと、俺が聞いたこともない言葉を呟き始めた。

「…おまえ…何やってんだ??」

小人は俺の問掛けを無視して言葉を続けている。

ハッ!
これはもしかしたら、魔法の呪文ってやつか?

もしかして、俺は小人の魔法でカエルか何かに姿を変えられて…

絵本で読んだ魔法使いの話が脳裏をよぎっていた。

(逃げなくては!!)

そう思った瞬間、小人が棒を頭上高くに差し上げ、そしてすぐにそれを俺に向かって指し示した。
棒の先から何か出てくるのかと思い、俺は固く目を閉じた。

数秒経って、小人の甲高い笑い声が聞こえ、俺が恐る恐る目を開けると、何も変わってはいなかった。

「……なんだよ、脅かすなよ!」

「……もしも、また会うことがあったら…そしたら、解いてやるよ。
帽子は返してもらうからな!」

小人は俺の手から帽子をひったくり不適な笑みを浮かべると、ものすごいスピードで走り去った。

「あ、おいっ!」

俺が声を出した時には、すでに小人の姿は見えなくなっていた。

(なんだ、あれ?
変な奴…)

……そういえば…
あいつ、おかしなこと言ってたな。

「もし、また会うことがあったら、解いてやる」…とか、なんとか…

解くって何を…?

やっぱり、なにかされたのか?

俺は急に不安になり、走って小屋に戻った。

もしかしたら、俺は姿が見えなくなってるとか、他の人から見たら豚に見えてるとか…

いろんな想像が頭の中にわきあがる。

「父さん!母さん!!起きて!起きてよ!」

「…ん…どうしたんだ、ルーク。」

俺は、不安で涙が出そうになるのを必死でこらえ、今あったことを両親に話した。

「ルーク…おまえ、寝惚けてたんだよ。
さぁ、もう寝なさい。」

「違うよ!俺、本当に小人を見たんだ!」

「わかったわ、そうね、小人さんに会ったのね。」

母さんは俺を抱き締め、背中をさすってくれた。

「俺は本当に…」

母さんの心地良い温もりのせいか、俺はいつの間にか眠ってたようだ。
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