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016. 嫉妬
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や、やっぱりそうだったのか…!
こいつは危険だ!
俺は、咄嗟に逃げ出そうと走り出したが、奴の方が足が長いだけ有利だった。
「なぜ、逃げるんです!?」
「は、放せ!!はっきり言っとくがな!
俺は、そんな趣味はないからな!」
「そんな趣味…?!」
一瞬、間を置いてから、ランスロットは噴き出した。
「ルークさん、それは勘違いです。
私にもそんな趣味はありません。」
「じゃ、な、なんだって俺と一緒にいたがるんだ!」
「それは……ルークさん…絶対に笑わないと約束してくれますか?」
「笑う?何をだ?」
「やっぱり、やめます。
話したらきっと笑われますから。」
「笑ったりするもんか。
何なんだ…?言ってみろよ!」
「実は…お恥ずかしいことに私はものすごい方向音痴なのです。
私の父も、そしてそのまた父も、ひどい方向音痴で…そう先祖代々、筋金入りの方向音痴の家系なのです。」
「は…?!」
そういえば、宿屋の部屋を出た時、奥の方へ歩き出したのはまさか…
「本当なのか?」
「本当です。
きっとすぐには信じられないと思いますが、私は隣町へ行くのにも迷ってしまうほどなのです。」
信じられない…
このハンサムで、上品で、どこからどう見ても欠点なんて1つもなさそうなこいつにそんな間抜けな欠点があったなんて…
だが、そのおかげで、今までこいつに抱いていた嫉妬心が少しだけ和らいだような気がした。
「そうか…そういうことなら、まかせときな!
俺が道案内してやるよ。」
「本当ですか!?ありがとう、ルークさん!
やはり、あなたは私の思った通りの良い人だ。ありがとうございます。
それで…早速ですが、ちょっと見て欲しいものがあるのです。」
そう言いながら、ランスロットは袋の中から何かを取り出した。
「これなんですが、マザークロスの町に着いたら、この地図がマザークロスのものかどうかを確かめてほしいのです。
実は私は、地図もさっぱりわからないものでして…」
そう言って、手渡された地図を見た瞬間、俺の心臓はどくどくと激しく脈打ち始めた。
ランスロットが差し出した地図は、無造作に破られている。
そう、その地図は俺が探し求めていたあの3分の2の地図だったのだから…!
こいつは危険だ!
俺は、咄嗟に逃げ出そうと走り出したが、奴の方が足が長いだけ有利だった。
「なぜ、逃げるんです!?」
「は、放せ!!はっきり言っとくがな!
俺は、そんな趣味はないからな!」
「そんな趣味…?!」
一瞬、間を置いてから、ランスロットは噴き出した。
「ルークさん、それは勘違いです。
私にもそんな趣味はありません。」
「じゃ、な、なんだって俺と一緒にいたがるんだ!」
「それは……ルークさん…絶対に笑わないと約束してくれますか?」
「笑う?何をだ?」
「やっぱり、やめます。
話したらきっと笑われますから。」
「笑ったりするもんか。
何なんだ…?言ってみろよ!」
「実は…お恥ずかしいことに私はものすごい方向音痴なのです。
私の父も、そしてそのまた父も、ひどい方向音痴で…そう先祖代々、筋金入りの方向音痴の家系なのです。」
「は…?!」
そういえば、宿屋の部屋を出た時、奥の方へ歩き出したのはまさか…
「本当なのか?」
「本当です。
きっとすぐには信じられないと思いますが、私は隣町へ行くのにも迷ってしまうほどなのです。」
信じられない…
このハンサムで、上品で、どこからどう見ても欠点なんて1つもなさそうなこいつにそんな間抜けな欠点があったなんて…
だが、そのおかげで、今までこいつに抱いていた嫉妬心が少しだけ和らいだような気がした。
「そうか…そういうことなら、まかせときな!
俺が道案内してやるよ。」
「本当ですか!?ありがとう、ルークさん!
やはり、あなたは私の思った通りの良い人だ。ありがとうございます。
それで…早速ですが、ちょっと見て欲しいものがあるのです。」
そう言いながら、ランスロットは袋の中から何かを取り出した。
「これなんですが、マザークロスの町に着いたら、この地図がマザークロスのものかどうかを確かめてほしいのです。
実は私は、地図もさっぱりわからないものでして…」
そう言って、手渡された地図を見た瞬間、俺の心臓はどくどくと激しく脈打ち始めた。
ランスロットが差し出した地図は、無造作に破られている。
そう、その地図は俺が探し求めていたあの3分の2の地図だったのだから…!
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