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ルカ(聖夜月ルカ)

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016. 嫉妬

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ランスロットに釘を刺し、部屋の鍵を閉めると、さらに扉の前に長椅子やらいろんなものをバリケードのように置いた。
そして、0時になる前にベッドの上に乗ると、俺は服を全部脱ぐ。

0時になると同時に俺の身体は小さくなった。
いつものこととはいえ、いやな瞬間だ。
そして、そのまま、だだっ広いベッドで眠りに就いた…



次の朝、ドアをノックする音が聞こえた。
あわてて腰にタオルを巻いて出ると、そこにいたのは、思った通り、ランスロットだった。



「おはようございます、ルークさん。
そろそろでかけましょうか?」

「あ…あぁ…ちょっと待っててくれ。今、準備をするから。」

朝早いというのに、あのしゃきっとした身だしなみは何なんだろう?
寝癖で髪がはね、はれぼったい目をしている俺とはなんでこんなに違うんだ?
長椅子に座って俺を待っている間も、背筋がピンと伸びている。



俺は、手早く顔を洗って服を着替えた。



「待たせたな、じゃあ、行こうか。……おい、どこへ行くんだ?」

出口とは反対側へ歩き出したランスロットを呼び止めると、奴はにっこり微笑んだ。

「いえ、なんでもないんです。」



町を出た奴は、俺とまるで恋人同士のようにくっついて歩く。
なんでこんなに密着したがるんだ? 
まさか、こいつ、おかしな趣味があるんじゃあ…?!



「おい、もう少し離れてあるけよ。」

「良いじゃないですか。この方が話しやすいですし…
ところで、ルークさんはマザークロスからどこへ行かれるんですか?」

「どこって…とりあえず、俺はその町に用があるんだ。」

「そうなんですか。
それで、町にはいつまで、いらっしゃるんですか?」

「そ、それは、まだわからねぇな。」

「それでは、用事が済むまでは同じ宿に泊まりましょうね!
もちろん、お代は私が支払いますから。」

「おまえ…一体、どんな目的があるんだ?!
なんだって、そんなに俺と一緒にいたがる?」

「目的なんてありません。
ただ、出来るだけ、ルークさんと一緒にいたいだけで…」

「それがおかしいっていうんだよ!
俺が可愛い女の子ならともかく、なんで、宿賃まで出してまで俺と一緒にいたいんだ?!」

「女の子なんて…面倒なだけですから…」

「ま、ま、まさか、おまえ…」

 
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