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ルカ(聖夜月ルカ)

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015. ヒーロー養成ギプス

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(嘘よ!
頭の中の妄想や夢が現実になることなんてあるはずないわ。
フィリップもウサギもギプスもただの私の妄想よ!
なのに、どうして私の身体はこんなに動きにくくなってるの?!)



次の日はさすがにショックが大き過ぎて、リンダは学校へも行かず一人部屋で泣いて過ごした。
その晩、小冊子を見ると、誰が記入したのかその日のグラフには達成度「0」が表示されていた。
その数字を見たリンダの心がざわめいた。



(どうしよう…勝手に記入されてるよ…
ってことはやっぱりあれはただの妄想じゃなかったってこと?
なにもしなかったから0は当然だけど…このままだったら、今度こそフィリップがギプスを着けられてしまうってこと?
それに…まさかと思うけど…もしかしてオール0だったら、一生このギプスがはずせないなんてこと…ないわよね…)



リンダの顔から血の気がひいていく…

しかし、次の瞬間、リンダの心はしっかりと決まった。

(泣いてたってなんともならないわ!
これが夢でも妄想でもないのなら、私がなんとかしなきゃ……!!)



次の日から、リンダの生活は一変した。



「あら、リンダ。
もう身体の具合は大丈夫なの?」

「ええ、もう大丈夫よ!
ママ、今日から私の食事メニューはこれでお願いね。
じゃ、私、ジョギングして来るから!」

「えええっ?!」

運動嫌いの娘の口から、ジョギングなどという言葉を聞いた母親は目を丸くした。
渡されたメニューも、今までのリンダの好きなものとは程遠いものだった。



(リンダったら…一体、どうしたのかしら?)







(あんなに頑張ったのに…)

その晩のグラフには、達成度20%が表示されていた。
リンダにしては精一杯の頑張りを見せたつもりだったのだが、数字は温情を見せてはくれない。
頑張ったかどうかではなく、どのくらいメニューをクリア出来たかということだけを表すのだ。



(明日はもっと頑張らないと…)

夜は遅くまで起きて妄想の世界で遊ぶリンダだったが、その日は疲れ果て早くに眠ってしまった。







そんな生活が一週間ほど続くと、リンダのロボットのようなぎこちない動きはすっかりなめらかなものに変わっていた。
グラフの数字も徐々にだが上がって来ていた。



二週間を過ぎた頃、初めてグラフの数字が50%を超えた。



(やった!54%!
つに50%を超えたわ!!)



最初のうちは辛くて仕方のなかったことが、だんだんと苦にならないようになっていた。
ギプスを着け始めて一ヶ月が過ぎた頃には、クラスメイトがリンダの変化に気付くようになっていた。
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