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010. 頂上
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「あれは…!」
ライアンの視線は、箒に釘付けになった。
頂上には、誰のものかわからない古い屋敷が建っていた。
その屋敷の前の庭に、オーギュストの箒がいさましく突っ立っていた。
だが、近付こうとしても、見えない壁のようなものに阻まれ、手を伸ばすことが出来ない。
「なんてことだ、どうやっても触ることが出来ない。」
「なんらかの魔法がかけられてるみたいだな。」
「お、おい!なんだ!あれは…!」
ゴードンが、唐突に声を上げ、空を指さした。
呆気にとられる彼らの前に現れたのは、見たこともないような巨大なドラゴンだった。
ドラゴンの咆哮に、大地は震え、皆は顔を歪め、耳を塞いだ。
「出やがったな!」
ドラゴンとの戦いは熾烈を極めた。
だが、ドラゴンにはメイサの呪文もほとんど効かないし、固い鱗に覆われているため、剣で傷付けることも出来ない。
四人はどんどん疲弊していった。
このままではやられてしまう…ライアンがそう思った時、思いもかけなかったことが起こった。
『命が惜しいのなら帰れ。
言っておくが、ここには宝などない。
あるのはそこにあるつまらない竹箒だけだ。』
「人の言葉が話せるのか!?
私は、その箒が欲しくてここまでやって来た。」
『なんだと?竹箒がほしいだと?
なぜだ、なぜ、そんなものを欲しがる?』
「私は、家事が大好きだからだ!」
ライアンは声高らかにそう答えた。
『なんだと…?
それなら、今日中にそこの屋敷の中を綺麗にすることが出来たら、おまえに竹箒をやろう。
ただし、出来なかったら、その命はもらう…』
「そんなことなら、お安い御用だ!」
四人は、屋敷の中へ足を踏み入れた。
「うっ!こ、これは…!」
屋敷の中は、どこもかしこも散らかり、足の踏み場もない有様だった。
「こいつは酷い、こんなの今日中なんて…」
「ふふふ…」
ライアンは不敵な笑みを浮かべていた。
「こんな汚い屋敷は初めてだ!これはやりがいがある!」
ライアンは鎧を脱ぎ捨てると、マイエプロンを身に付け、鉢巻をぎゅっと巻いた。
「よ~しっ!片付けるぞ!」
ライアンの瞳は、きらきらと輝いていた。
「あれは…!」
ライアンの視線は、箒に釘付けになった。
頂上には、誰のものかわからない古い屋敷が建っていた。
その屋敷の前の庭に、オーギュストの箒がいさましく突っ立っていた。
だが、近付こうとしても、見えない壁のようなものに阻まれ、手を伸ばすことが出来ない。
「なんてことだ、どうやっても触ることが出来ない。」
「なんらかの魔法がかけられてるみたいだな。」
「お、おい!なんだ!あれは…!」
ゴードンが、唐突に声を上げ、空を指さした。
呆気にとられる彼らの前に現れたのは、見たこともないような巨大なドラゴンだった。
ドラゴンの咆哮に、大地は震え、皆は顔を歪め、耳を塞いだ。
「出やがったな!」
ドラゴンとの戦いは熾烈を極めた。
だが、ドラゴンにはメイサの呪文もほとんど効かないし、固い鱗に覆われているため、剣で傷付けることも出来ない。
四人はどんどん疲弊していった。
このままではやられてしまう…ライアンがそう思った時、思いもかけなかったことが起こった。
『命が惜しいのなら帰れ。
言っておくが、ここには宝などない。
あるのはそこにあるつまらない竹箒だけだ。』
「人の言葉が話せるのか!?
私は、その箒が欲しくてここまでやって来た。」
『なんだと?竹箒がほしいだと?
なぜだ、なぜ、そんなものを欲しがる?』
「私は、家事が大好きだからだ!」
ライアンは声高らかにそう答えた。
『なんだと…?
それなら、今日中にそこの屋敷の中を綺麗にすることが出来たら、おまえに竹箒をやろう。
ただし、出来なかったら、その命はもらう…』
「そんなことなら、お安い御用だ!」
四人は、屋敷の中へ足を踏み入れた。
「うっ!こ、これは…!」
屋敷の中は、どこもかしこも散らかり、足の踏み場もない有様だった。
「こいつは酷い、こんなの今日中なんて…」
「ふふふ…」
ライアンは不敵な笑みを浮かべていた。
「こんな汚い屋敷は初めてだ!これはやりがいがある!」
ライアンは鎧を脱ぎ捨てると、マイエプロンを身に付け、鉢巻をぎゅっと巻いた。
「よ~しっ!片付けるぞ!」
ライアンの瞳は、きらきらと輝いていた。
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