Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

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008. さらなる力

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(アーロン…大丈夫かしら?
あんなに思い詰めて……)



 「お嬢さん……」



 暗い夜道を歩いている時、フィリスは見知らぬ男に声をかけられた。
 並外れて端正な顔をしたその男の目は、震えが来そうな程、冷たい目をしていた。



 「あ、あの…何か?」

 「ここで会ったのも何かの縁…もしかしたら、あなたの力になれるかもしれません。」

 「わ、私の力に?い、一体、どういうことでしょうか?」

 男は、不敵な笑みを浮かべた。



 「正直に言います。
 私は、人間ではない。
あなた方、人間が『悪魔』と呼ぶ存在です。」

 「な、なんですって!?」

フィリスは、その場から駆け出そうとした。
だけど、足に根が生えたように動かない。
フィリスの顔は恐怖に引きつり、血の気が引いていく。



 「心配はいりません。何も取って食おうというのではないのです。
 失礼ですが、あなたの思考を読ませていただきました。
あなたは、恋人のためになんとかしたいと考えている…
私は、あなたのそのお気持ちを実現してさしあげることが出来る。」

 「で、でも、そのためには契約を交わすのですよね?
 私の魂をあげるという契約を…」

 「その通りです。
たかが魂だけで、望みが叶うのですよ。
 良い取引だとは思いませんか?」

 「思いません!私はそんなこと、絶対にしません!
さぁ、すぐに術を解いて下さい!」

 「……そうですか。わかりました。」



フィリスは、足が自由を取り戻したことに気付き、その場から歩き出した。



 「では、アーロンさんと契約することにしましょう。
 彼ならきっと、私の申し出を受けるはずだ…」

フィリスの足がぴたりと止まる…



「や、やめて!アーロンには会わないで!」

 「私が誰と会おうと、それは私の自由です。
……そうではありませんか?」

フィリスは、ぎゅっと唇を噛んだ。

 
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