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006. 喧嘩
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「あ~あ、つまんないのねん。」
学校の都合により、せっかく午後の授業がなくなったというのに、メリーの仲間達は皆なんだかんだと理由を付けては彼の誘いを断った。
「とりあえず、何か食べに行くのねん。」
メリーは自分に言い聞かせるようにそう呟くと、歩き慣れたショッピングセンターへの道を歩き始めた。
規則正しく動いていたその足がおもむろに停まる…
(そうだ…今日はあそこは休みだったのねん。)
メリーは立ち止まり考える。
このまま家に帰るのか、それとも…
その時、メリーの脳裏にあるものが浮かび、
それと同時に彼の足はまた元気に動き出した。
*
「あった!!」
メリーは一軒の食堂の前で立ち止まり満足そうに微笑むと、ガラガラと引き戸を開けて中に入る。
「いらっしゃい!
あ、あんたは…!」
白髪の老女が一瞬驚いたような表情を浮かべ、そしてにっこりと微笑んだ。
「……また来たのねん!」
メリーはその笑顔にはにかんだような笑顔を返した。
「ひさしぶりだねぇ…
さぁ、どうぞ!」
メリーは黄ばんだメニューを見ながら、適当に注文をする。
「相変わらず良く食べるねぇ!
ちょっと待ってておくれよ。」
注文を聞くと老女は厨房の中に消えていった。
(良かったのねん…)
メリーは、さほど広くもない店内を見渡す。
一昔前に戻ったような古びた食堂だ。
今時珍しいくらいに何の装飾もないシンプルなテーブルと椅子が三組と数席のカウンター。
店の中はどこもかしこも色褪せ、すすけている。
この店にメリーが来たのはこれが二度目だった。
初めてここを訪れたのは約半年前、その時も今日と同じく遊んでくれる仲間がいなくて適当に町をうろついていた時のことだった。
(そうだ…あの日もショッピングセンターが休みだったのねん。)
お腹がすいていた時に、たまたま漂って来た良いにおいに誘われるようにメリーはこの店に辿り着いた。
最初は決して綺麗とは言えないこの店の雰囲気に少し違和感を覚えたものだが、出て来た料理は皆とても美味しく、しかも大食漢のメリーをも満足させてしまう程のものすごいボリュームだった。
これからはここを行き付けの店にしようと考えていた所、メリーは老女から思いがけないことを聞かされた。
料理を作っている夫の腰の具合が悪く、しばらくはその養生のため店を休むと言うのだ。
老女は寂しそうに笑ってこう言った。
学校の都合により、せっかく午後の授業がなくなったというのに、メリーの仲間達は皆なんだかんだと理由を付けては彼の誘いを断った。
「とりあえず、何か食べに行くのねん。」
メリーは自分に言い聞かせるようにそう呟くと、歩き慣れたショッピングセンターへの道を歩き始めた。
規則正しく動いていたその足がおもむろに停まる…
(そうだ…今日はあそこは休みだったのねん。)
メリーは立ち止まり考える。
このまま家に帰るのか、それとも…
その時、メリーの脳裏にあるものが浮かび、
それと同時に彼の足はまた元気に動き出した。
*
「あった!!」
メリーは一軒の食堂の前で立ち止まり満足そうに微笑むと、ガラガラと引き戸を開けて中に入る。
「いらっしゃい!
あ、あんたは…!」
白髪の老女が一瞬驚いたような表情を浮かべ、そしてにっこりと微笑んだ。
「……また来たのねん!」
メリーはその笑顔にはにかんだような笑顔を返した。
「ひさしぶりだねぇ…
さぁ、どうぞ!」
メリーは黄ばんだメニューを見ながら、適当に注文をする。
「相変わらず良く食べるねぇ!
ちょっと待ってておくれよ。」
注文を聞くと老女は厨房の中に消えていった。
(良かったのねん…)
メリーは、さほど広くもない店内を見渡す。
一昔前に戻ったような古びた食堂だ。
今時珍しいくらいに何の装飾もないシンプルなテーブルと椅子が三組と数席のカウンター。
店の中はどこもかしこも色褪せ、すすけている。
この店にメリーが来たのはこれが二度目だった。
初めてここを訪れたのは約半年前、その時も今日と同じく遊んでくれる仲間がいなくて適当に町をうろついていた時のことだった。
(そうだ…あの日もショッピングセンターが休みだったのねん。)
お腹がすいていた時に、たまたま漂って来た良いにおいに誘われるようにメリーはこの店に辿り着いた。
最初は決して綺麗とは言えないこの店の雰囲気に少し違和感を覚えたものだが、出て来た料理は皆とても美味しく、しかも大食漢のメリーをも満足させてしまう程のものすごいボリュームだった。
これからはここを行き付けの店にしようと考えていた所、メリーは老女から思いがけないことを聞かされた。
料理を作っている夫の腰の具合が悪く、しばらくはその養生のため店を休むと言うのだ。
老女は寂しそうに笑ってこう言った。
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