Gift

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
10 / 697
001. 砂の城

しおりを挟む
「なんだよ、これ…」

なんと、その部屋は迷路になってたんだ。
最後の最後でこんなものがあろうとは…
しかも、最上部は窓が少なく月明かりもあまり差しこまないため、薄暗くなおさらわかりにくい。



(畜生~!小人の奴~!)

俺は心の中で小人への怒りを募らせながら、迷路の中をさ迷った。
よくもまぁこんないやらしい迷路を作ったもんだ。
俺は方向音痴って程じゃないけど、ぐるぐる回っているうちに扉の場所さえわからなくなった。
どうしよう…!?
扉を離れてからいつの間にかあたりの暗さは増していた。
きっと、部屋の真ん中あたりに来てるのだと思ったが、それを証明することは出来ない。
下から俺の名を呼ぶランスロットの声が聞こえた。



「大丈夫だ~!」

俺は声を張り上げ強がったが、小さくなってる俺の声は当然小さくなってるだろうから、下まで届いたかどうかはわからない。
奴が心配している所をみると、もしかしたら俺が思ってるよりも時間が経ってるのかもしれない。
早くしないと…!
焦りのせいか、異常な汗が手の平から吹き出ていた。



「あ……」

不意に壁がなくなり、俺は身体のバランスを崩しながら拓けた場所に躍り出た。
部屋の明るさも少し増していた。
その場所の中央には台があり、その上に宝箱があった。
やった!きっとこの中に鍵があるんだ!

俺は、震える手で、半円形の蓋を押し開けた。
その中に入っていたのは、意外にも銀色の笛だった。
宝箱の中を手で探ったが、それ以外にはなにもない。
なぜ鍵ではなく笛なのか…
考える俺の耳に、ランスロットの声が届いた。
さっきよりもさらに焦った声だ。



「ルークさん、大丈夫ですかーーー!もうじき夜が明けますよーーーー!!」

夜が明ける…?
もうそんな時間なのか?
こんな所で夜が明けたら…俺の身体が元通りになったら…この部屋は崩れ、俺もランスロットも砂に埋もれて死んでしまう!
今の俺の顔は、きっと真っ青になってると思う。
とにかくなにがなんでも早く外へ出なくては…!
俺は、再び迷路に戻った。
何度も壁にぶつかりながらも、俺は迷路の中をがむしゃらに走り続けた。



「ルークさぁぁぁーーーん!!」

ランスロットの声はさらに悲痛なものになっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

【完結】魔獣の公女様 

nao
ファンタジー
「どうして?ナディア」 さっきまで、同じベッドで眠っていた妹の事を思う。 イースデール公国 公女のリディア=イースデールは、1ヶ月後 マルコシアス帝国の王太子アラン=マルコシアスに嫁ぐ予定だった。 妹に魔獣に変えられてしまった公女様の物語です。 ノロノロ更新になりそうですが、よろしくお願いします。 ファンタジー小説大賞にエントリーさせていただきました。 たくさんの人に読んでもらえると嬉しいです。

お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作 《あらすじ》 この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。 皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。 そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。 花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。 ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。 この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。 だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。 犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。 俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。 こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。 俺はメンバーの為に必死に頑張った。 なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎ そんな無能な俺が後に…… SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する 主人公ティーゴの活躍とは裏腹に 深緑の牙はどんどん転落して行く…… 基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。 たまに人の為にもふもふ無双します。 ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。 もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...