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001. 砂の城
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しおりを挟む「一つ尋ねるが……おまえさんは、どうしても小人の村へ行くつもりなのかい?」
「もちろんだ!」
「では、わしが、鍵の在り処を教えて、おまえさんが万一それを取って来ることが出来たなら、わしも一緒に連れて行ってくれるか?」
「あぁ、そんなことなら約束する!
鍵の在り処さえ教えてくれたら、俺が必ずそれを取って来る。
そして、爺さんも一緒に小人の村へ連れて行くよ!」
爺さんは黙ったまま、じっと俺の瞳の奥をのぞきこむ。
「よし、わかった!
おまえさんの言葉を信じよう!」
そう言うと、爺さんは俺の肩を叩いて愉快そうに笑い、立ち上がって隣の部屋に向かった。
「これが、小人の村に入るための鍵の在り処じゃ。」
戻って来た爺さんは、テーブルの上に一枚の地図を広げた。
その場所は、ここからさほど遠くない砂漠の中にあるらしい。
「爺さん…さっきあんた言ってたよな。
取れないことがわかってるって…
それはどういうことなんだ?
もしかして、砂の奥深くとか言うんじゃないだろうな?」
「いや…そうではないのだが…
砂の奥深くに埋まっているものよりも、取るのは難しいかもしれんぞ。
……取る事は不可能だと言われておる。」
「だから、それはどういうことなんだよ!」
「それはじゃな…」
ストック爺さんは、酒を一口流しこむと、ゆっくりとした口調で話し始めた。
その場所は、通称「砂の城」と呼ばれていて、その名の通り、砂で作られた建物らしい。
最上階に小人の忘れ物…つまりはそれが鍵だと爺さんは考えているらしいんだが、それがあるとされる建物はすべてが砂で作られているっていうんだ。
小人の体重なら支えられるが、人間が登ろうとすれば階段は崩れてしまう。
建物を壊してしまえば、鍵は砂の中に埋もれてしまう。
万一、それが割れものだったら、さらに状況は悪くなるわけだ。
だから誰も取れないということなのだそうだ。
「それを取るには、空でも飛んで天辺から壊さないように穴を開けてどうにかするしかないだろうな。
だが、空を飛べる人間なんてどこにいる?」
爺さんの話を聞いていると、俺にも全く希望がないように思えた。
爺さんの言う通り、空を飛べる人間なんてこの世にいるはずもないんだから。
ここで諦めてしまうのは悔しいが、爺さんの話が本当ならやはりあの扉をあけることは不可能なような気がした。
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