天使からの贈り物・夢

ルカ(聖夜月ルカ)

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「そ、そうだ!
今回だけがチャンスじゃないぞ!
夢ってのはな、諦めない限り、叶うチャンスはあるんだ。
ダメになるのは本人がその夢を捨てた時だけなんだから。
な、アルドー!!」

「そうですよ!ジュリアンさんのおっしゃる通りです。
あ、そうそう、さっき、宝石店に行ってライラのあの石を磨いてもらったんですよ!
やっぱりあれは正真証明のオパールでした!」

「だから、俺がそう言っただろ?
俺は長い間、石を掘ってるんだから、俺の言うことに間違いはないって!」

「あの石、粒は小さいけど、とても良質のものなんですって。
見る角度によって輝きがゆらめいて、とても綺麗でした!
あと一週間程したら、指輪になって出来あがるんです!
楽しみだわ…!」

ライラはそう言って嬉しそうに微笑んだ。



「そりゃあ、良かったな!
あんたにはきっとオパールの指輪が似合うだろうな。」

その時、あたりにざわめきが起こった。
どうやら会場の前で優勝者の名前が発表されたようだ。



「お、もうそんな時間か!
早く見に行こうぜ!」



貼り出された紙には、優賞者と次点二名の名前が書かれてあった。



「あ……」

「アルドー…」

貼り紙を見た三人は、言葉を失った。



「やっぱり、ロナウドが優賞か…思った通りだ…
ライラ、僕も一言、彼にお祝いを言ってくるよ。」



そこにアルドーの名前はなかった…



ロナウドの周りには、たくさんの人々が集まり、口々に祝いや賛辞の声をかけていた。
少し離れた所では、次点の者と思われる男性が、友達らしき男性と肩を抱きあい飛びあがって喜び合っていた。
それとは逆に、貼り紙の前でがっくりとうなだれる者や怒りを顕わにする者達もいた。

やがて、入賞しなかった者達は自分の絵を持って寂しそうに会場を去って行く…



「アルドー…
その絵、またお店に飾って良い?」

「これは…だめだ…」

「どうして?」

「これは、新居にかけたいんだ。」

「あ…そうね…
そうよね!赤い屋根の煉瓦作りの家…」

「明日からは僕もまた一生懸命働くよ!」

「アルドー、そんなこと良いのよ。
働くのは私に任せて、あなたは絵を描いて!」

「大丈夫!働きながらでも絵は描けるよ。
いつになるかわからないけど、絶対にあの丘に僕らの家を建てよう!
それまでは、アパート住まいになると思うけど…ごめんよ…」

「そんな事全然かまわないわ。アルドーと一緒ならそれだけで私は幸せだもの!」
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