天使からの贈り物・夢

ルカ(聖夜月ルカ)

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ライラはポケットから取り出した小さなものを手の平に乗せてジュリアンの前に差し出した。



「これなんですが…
今朝、引出しの中からみつけたんです。
何かと思って見てみたらこの石で…
母さんがもしかしたらオパールじゃないかなんて言うんですけど、まさか違いますよね。」

『あの時の石だな…』

エレスの言葉に、ジュリアンは小さく頷いた。



「それは間違いなくオパールだ。
磨いてもらったらけっこう良いものになるぜ。」

「えっ!本当にオパールなんですか?
で、でも、どうしてそんなものがひきだしの中に…?!」

「そ…それはだなぁ…
ライラ…オパールっていうのは愛の石とか、希望の石とか言われてるのを知ってるか?
オパールの中には愛の天使が棲んでるって言い伝えもあるんだぜ。
そのオパールは、あんたとアルドーの祝福をするためにきっと天使が運んで来たんだな。」

「天使が!そんな夢みたいなこと…!」

「そういう夢みたいなことってたまにあるんだ。
俺は今までいろんな町を旅して来たが、そんな話をけっこう聞いたぜ。」

「そ、そうなんですか…!」

「すごいな、ライラ!
天使が宝石を運んで来てくれたなんて…」

「信じられないけど…でも、私達、誰も見覚えさえないんだもの…
そうね…きっと、ジュリアンさんのおっしゃる通りなんだわ!
そうだ、アルドー、私これを結婚指輪にするわ!」

「あ……もしかしたら、僕がまだ貧しくて指輪も買えないのを知って、天使がオパールをもってきてくれたのかもしれないよ!」

「そうかもしれないな。
あんたの愛情をオパールに変えて運んで来てくれたのかもな!」

「きっと、そうだ!!」


和気藹々とした雰囲気の中、夕方には三人で会場に絵を運び込み、後は明日の結果を待つだけとなった。
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