12 / 24
夢
12
しおりを挟む
「や…やっと、着いた…」
息も絶え絶えになったジュリアンが隣町に着いたのは、もうあたりが暗くなり始めた頃だった。
「と…とにかく、港に行かなきゃな…」
ジュリアンは身体に残った体力を振り絞るようにして、港へ急ぐ。
「ちょっと尋ねたいんだが…」
港の詰め所に駆けこんだジュリアンは、早速そこにいた男に声をかけた。
「あんた、どうしたんだ?
えらく疲れてるみたいだな。」
ジュリアンはすすめられた椅子にどっかりと腰を降ろす。
「ありがとう。
実は、ちょっと人を探しててな。
黒い巻き毛で痩せ型で、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男をみかけなかったか?」
「ちょっと待ってくれよ。」
男はそう言い残し部屋の奥に消えて行った。
「人探しをしてるんだって?」
先程の男が、別の男を伴なって現れた。
「あぁ、黒い巻き毛で痩せ型で、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男を探してるんだ。」
「あぁ…それなら…」
「見たのか?!」
「それらしき男を見たよ。
なんだか様子がおかしくてな。
もしかしたら、船の上から飛び降りたりすんじゃねぇかと気になったんで、乗組員には注意するように伝えといたんだ。」
「そ、そ、それで、そいつはどこに行ったんだ?」
「東の大陸だ。」
「東の大陸!?
そこまではずいぶん遠いんじゃないのか?」
「あぁ、何ヶ月もかかる。」
「そんな遠くへ…
まいったな、だが、仕方ない。
それで、次の船はいつ出航なんだ?」
「それなら、三ヶ月後だ。」
「さ、三ヶ月後だってぇ~?!
馬鹿言うな!そんなことしてたら、アルドーの行方がすっかりわからなくなっちまう。
なんとか船を出してもらえないか?」
「あんた一人のためにそんなことは出来ないな。諦めな…」
「そんなぁ…」
アルドーの手掛かりがみつかったのは良いが、船は出た後…
追いかけ様にも次の船の出航は三ヶ月後だと聞かされ、ジュリアンは途方に暮れた。
『とりあえず、少し休んで考えるしかないんじゃないか…?
ここんとこ、ほとんど食事も採っていないのだから、何か食べて…』
「おまえにしちゃあ優しいこと言うじゃないか…
珍しい事もあるもんだな。」
『おまえがあまりにも情けない顔をしてるからな。』
「そんなにひどいか?」
『あぁ、ひどいもんだ…』
「そうか…」
ジュリアンは肩を落とし、重い足をひきずりながら、宿を目指した。
息も絶え絶えになったジュリアンが隣町に着いたのは、もうあたりが暗くなり始めた頃だった。
「と…とにかく、港に行かなきゃな…」
ジュリアンは身体に残った体力を振り絞るようにして、港へ急ぐ。
「ちょっと尋ねたいんだが…」
港の詰め所に駆けこんだジュリアンは、早速そこにいた男に声をかけた。
「あんた、どうしたんだ?
えらく疲れてるみたいだな。」
ジュリアンはすすめられた椅子にどっかりと腰を降ろす。
「ありがとう。
実は、ちょっと人を探しててな。
黒い巻き毛で痩せ型で、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男をみかけなかったか?」
「ちょっと待ってくれよ。」
男はそう言い残し部屋の奥に消えて行った。
「人探しをしてるんだって?」
先程の男が、別の男を伴なって現れた。
「あぁ、黒い巻き毛で痩せ型で、こっちの頬にほくろのある27~8歳の男を探してるんだ。」
「あぁ…それなら…」
「見たのか?!」
「それらしき男を見たよ。
なんだか様子がおかしくてな。
もしかしたら、船の上から飛び降りたりすんじゃねぇかと気になったんで、乗組員には注意するように伝えといたんだ。」
「そ、そ、それで、そいつはどこに行ったんだ?」
「東の大陸だ。」
「東の大陸!?
そこまではずいぶん遠いんじゃないのか?」
「あぁ、何ヶ月もかかる。」
「そんな遠くへ…
まいったな、だが、仕方ない。
それで、次の船はいつ出航なんだ?」
「それなら、三ヶ月後だ。」
「さ、三ヶ月後だってぇ~?!
馬鹿言うな!そんなことしてたら、アルドーの行方がすっかりわからなくなっちまう。
なんとか船を出してもらえないか?」
「あんた一人のためにそんなことは出来ないな。諦めな…」
「そんなぁ…」
アルドーの手掛かりがみつかったのは良いが、船は出た後…
追いかけ様にも次の船の出航は三ヶ月後だと聞かされ、ジュリアンは途方に暮れた。
『とりあえず、少し休んで考えるしかないんじゃないか…?
ここんとこ、ほとんど食事も採っていないのだから、何か食べて…』
「おまえにしちゃあ優しいこと言うじゃないか…
珍しい事もあるもんだな。」
『おまえがあまりにも情けない顔をしてるからな。』
「そんなにひどいか?」
『あぁ、ひどいもんだ…』
「そうか…」
ジュリアンは肩を落とし、重い足をひきずりながら、宿を目指した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

天使からの贈り物・誤算
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
ジュリアンとエレスの旅物語・第4弾です。
ある町で、ジュリアンはネイサンとポールという二人の炭鉱夫と仲良くなった。
その出会いは、ジュリアンに深い心の傷を与えることに…

天使からの贈り物・決意
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
単細胞の石好き男・ジュリアンと、石の精霊・エレスの不思議な旅物語・第5弾!
旅の途中でジュリアンが知り合ったのは、ラリーとスージーという仲の良い兄妹だった。
もうじき結婚することが決まっていたスージーの身に、とんでもないことが起きて…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天使からの贈り物・恋
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
石好き男・ジュリアンと、石の精霊・エレスのちょっと不思議な旅物語。第6弾です。
恋には縁遠かったジュリアンが、ついに運命の出会いを果たした。
しかし、その出会いは……

天使からの贈り物・衝動
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
ある時、ジュリアンが掘り出したのは、とても見事なエレスチャルだった。
しかも、そのエレスチャルには石の精霊が棲んでいて……
シリーズ第1弾です。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています
女子小学五年生に告白された高校一年生の俺
think
恋愛
主人公とヒロイン、二人の視点から書いています。
幼稚園から大学まである私立一貫校に通う高校一年の犬飼優人。
司優里という小学五年生の女の子に出会う。
彼女は体調不良だった。
同じ学園の学生と分かったので背負い学園の保健室まで連れていく。
そうしたことで彼女に好かれてしまい
告白をうけてしまう。
友達からということで二人の両親にも認めてもらう。
最初は妹の様に想っていた。
しかし彼女のまっすぐな好意をうけ段々と気持ちが変わっていく自分に気づいていく。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる