4 / 8
あれから…
4
しおりを挟む
「王様、王妃様、今時『男』がつくような名前は流行りませんぞ。
ミカエル様『かば太』や『ごり也』などいかがでしょう?」
「ルー爺……」
ミカエルの瞳に殺意が宿る…
「は………ははははは………
ミカエル様、冗談です!じょーーーーだんですってば!」
殺意を感じ取ったルーファスは、作り笑いを浮かべ、無理に笑った。
「ほ、本当は良い名前を考えておるのです!
『シーサー』なんていかがでしょうか?」
「『シーサー』?
知ってる!俺、その名前、知ってるぞ!
大昔の異国の英雄の名前だな!
絶世の美女と結婚した英雄だ。
ルー爺にしては良いセンスしてるじゃないか!
うん、それに決めた!
こいつの名前は『シーサー』だ!!」
赤ん坊を抱いて喜ぶミカエルを尻目に、部屋の片隅に集まる国王と王妃とルーファスは小さな声で囁きを交わす。
「これが『シーサー』というものなのです。
異国の南の島の魔除けだそうです。」
ルーファスは押し殺した声でそう言いながら、二人に一枚の写真を見せた。
「まぁ、鼻のあたりなんてあの子にそっくりだわ!」
「そうでしょう?
私もこれを初めて見た時は、オニガワラさんの親戚かと思ったくらいです。」
「このシーサーの方が少し男前だがな!」
「まぁ、あなたったら…!」
三人は肩を震わせ、必死で笑いを噛み殺す。
*
その後も、シーサーはすくすくと元気に育って行った。
そして、数ヶ月の時が流れ……
「そういえば、カパエル様とアンジェリーヌ様のお子様ももうそろそろでございますな。
どちらに似てもさぞかし可愛らしいお子さんでしょうなぁ…」
「そうか…あいつらの所ももうそんな時期なんだな…」
ミカエルの頭に、ふと黒い考えが浮かんだ。
(そうだ……!!
もしも、アンジェリーヌの産んだ子がカパエルの元の顔にそっくりだったら…!
ふっふっふっ…これはうまく使えるかもしれないぞ!
カパエルは馬鹿だから、「この子がこんなにどっちにも似てないのは、アンジェリーヌがお前を騙して浮気したってことだ!あれはおまえの子じゃないんだ!」って炊き付けて…
うまくいくと、離婚問題に発展するかもしれない!
そしたら、そこで俺がアンジェリーヌにうまくとりいって…
……アンジェリーヌを俺の第二夫人にすることも夢じゃない!!)
「ふふふふふ……」
(ミ…ミカエル様…
また良からぬことを……!)
ルーファスの頬に一筋の冷たい汗が流れた……
ミカエル様『かば太』や『ごり也』などいかがでしょう?」
「ルー爺……」
ミカエルの瞳に殺意が宿る…
「は………ははははは………
ミカエル様、冗談です!じょーーーーだんですってば!」
殺意を感じ取ったルーファスは、作り笑いを浮かべ、無理に笑った。
「ほ、本当は良い名前を考えておるのです!
『シーサー』なんていかがでしょうか?」
「『シーサー』?
知ってる!俺、その名前、知ってるぞ!
大昔の異国の英雄の名前だな!
絶世の美女と結婚した英雄だ。
ルー爺にしては良いセンスしてるじゃないか!
うん、それに決めた!
こいつの名前は『シーサー』だ!!」
赤ん坊を抱いて喜ぶミカエルを尻目に、部屋の片隅に集まる国王と王妃とルーファスは小さな声で囁きを交わす。
「これが『シーサー』というものなのです。
異国の南の島の魔除けだそうです。」
ルーファスは押し殺した声でそう言いながら、二人に一枚の写真を見せた。
「まぁ、鼻のあたりなんてあの子にそっくりだわ!」
「そうでしょう?
私もこれを初めて見た時は、オニガワラさんの親戚かと思ったくらいです。」
「このシーサーの方が少し男前だがな!」
「まぁ、あなたったら…!」
三人は肩を震わせ、必死で笑いを噛み殺す。
*
その後も、シーサーはすくすくと元気に育って行った。
そして、数ヶ月の時が流れ……
「そういえば、カパエル様とアンジェリーヌ様のお子様ももうそろそろでございますな。
どちらに似てもさぞかし可愛らしいお子さんでしょうなぁ…」
「そうか…あいつらの所ももうそんな時期なんだな…」
ミカエルの頭に、ふと黒い考えが浮かんだ。
(そうだ……!!
もしも、アンジェリーヌの産んだ子がカパエルの元の顔にそっくりだったら…!
ふっふっふっ…これはうまく使えるかもしれないぞ!
カパエルは馬鹿だから、「この子がこんなにどっちにも似てないのは、アンジェリーヌがお前を騙して浮気したってことだ!あれはおまえの子じゃないんだ!」って炊き付けて…
うまくいくと、離婚問題に発展するかもしれない!
そしたら、そこで俺がアンジェリーヌにうまくとりいって…
……アンジェリーヌを俺の第二夫人にすることも夢じゃない!!)
「ふふふふふ……」
(ミ…ミカエル様…
また良からぬことを……!)
ルーファスの頬に一筋の冷たい汗が流れた……
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
STORY BOXⅡ
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
主に既存のオリキャラを主人公にしてお題にチャレンジします。
こちらは、続けずに短編です。
本編をご存知ないと、よくわからないお話もたまにはあるかもです…
※こちらのお題からのリクエスト募集中です。
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる